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17.あなたは今部屋に一人きりです。絨毯をコロコロしました。コロコロの粘着面を見ますか?*はい or *YES

「疲れた~」


トイレに無事到着して、リュックサックを降ろした。


ぐぐっ~と背伸びをして、深呼吸。身体の力を抜く。


 は~。やっと落ち着けるよ。トイレがこんなに癒し空間になるとは思っていなかったぜ。


 なんたって、楽園の次に安心できる場所だもんな。


 移動中はやっぱり気を張って、神経使うから、精神的にしんどいぜ。


 栄養補助食品のゼリー飲料と水を飲んで、便器に腰掛けて一息いれる。


 身体もウエットティッシュでさっぱりしたし、新しい服もいい感じだ。血でパリパリになった服と比べると肌触りが違う。裾の長さもバッチリだぜ。


「………………………………………あ~~~~」


 なんだか、ぼ~とする~………………っと、いかんいかん。俺、一度気を抜くと駄目になるタイプだから注意しないと、すぐ怠けちまう。



 今日は改造というか、トイレを過ごしやすくする為に頑張ると決めていたからな。


 ここのトイレは、まだしばらくお世話になりそうだしな。


 うっし! 頑張りまっしょい!!



 アウトドア用品コーナーからトイレまで戻る道すがら、色々使えそうなものを物色してきたからな。今から腕が鳴る。楽しみだぜ。


 それにしても、帰りはモンスター全然居なかったな。


 気配もなかったからなあ。ハイゴブリン達があの辺を仕切ってたとか?


 そもそも、あいつらどうやって現れたんだよ。


 安全ならそれでいいんだろうけど、レベルやステータス、今後のことを考えると闘って、やっぱり強くなるに越したことは無いんじゃねえかな。


 それと幾ら身体能力が上がったと言ってもあんなモンスターたちとやり合うなんて考え方が、短絡的過ぎるのか?もっと慎重に行動した方がいいんだろうか?


 わかんねー。


 とにかく今は生き延びることを前提として、その場その場で頑張るか。


 ある意味俺らしくていいや。


 まあ、でもこんな事態に不謹慎だけど、やっぱりワクワクドキドキと興奮している自分がいるんだよな。それは否定できない。


 ゲームや漫画のような非現実な現実世界。


 キチンとバランスとって極端になり過ぎないように気をつけていこう。



 死んだ親父や母さんがいたら「危ないことするな!」って叱られるんだろうけどな。






「こんなものかな!」


 いや~、正直ね~トイレの改造、超楽しい!!


 自分の部屋の模様替えとはひと味違う感覚。


 なんだろう。なんて表現すればいいのか――――


 ………そうか!秘密基地だ!!!


 なるほど、なるほど、子供の頃の心踊るあの感じ。


 今日からはトイレじゃなくて基地だ、基地!!





 さてさて、それにしてもいい感じじゃないかな。


 まず最初にしっかりと掃除をした。更にはシートタイプの除菌クリーナーでピッカピカにしてやったぜ。


 次に、アルミの保温シートを敷き詰めてみた。少しでも床の冷たさを防げればいいんだかな。ホント、基地の床冷たい。夏ならまだいいんだろうけど、4月にゃまだキツイ。よく風邪ひかなかったよ。


 敷き詰めた保温シートの上には、繋げるパズルみたいなマットを敷いた。商品タグにはジョイントマットってあったな。一番厚手のやつを選んだ。


 無地、ローマ字、動物柄の3つがあったが、動物柄をチョイスしてみた。


 その上にラグカーペットを更に敷いたから、動物柄見えないけどな。


 ラグカーペットは厚手の低反発マットでサラサラとした手触りが、最高な一品だ。しかも二枚重ねにしてみた。


 で、寝袋を2枚重ねで置いて………床関係はオッケーだぜ。


 ちなみこの寝袋も高級ダックダウンの二人用のでっかいタイプだ。…………二人用。ふ、二人用か〜。寝袋に二人。そうか〜。髭もじゃの山男が二人………いや、違うはずだ。カップルとか親子とかが使うと思いたい。


 ま、まあいいや。本当は普通に寝袋の中に入って寝たいけど、何かあった時すぐに身動き取れないと不味そうだから、敷布団と掛け布団感覚で使うことにする。




 床の次は室内のインテリアにも凝りたい。


 壁の四隅にフックをねじ込む。吊るすのはLEDのランタンだ。暖色か白色に切り替えられて、光量も調節できる上に、長時間使用可能な優れものだ。


 スイッチを入れてみる。


「明るいな~」


 楽園以外でのまともな灯り。非常口の緑と白の灯りは見飽きたんだよ。


 壁には掛け時計も設置した。店内の時計に合わせている。


 よ~し。やる気が出てきたぞ。


 ライトの光量を、最大にしてみて、一旦トイレの外に出る。


 あっ。やっぱり光が漏れてる。


 暗闇の中だと目立つからな。塞いでおこう。





 あとは、カー用品コーナーから持ってきた無香料の芳香剤や布用消臭スプレーなんかも洗面台に並べておく。


 タオルに綿棒や歯磨きセットにマウスウォッシュ。それと全身用ウエットティッシュ。置き時計も一応ね。


 そしてついに見つけましたぜ。


『ドライシャンプー・リンス入り』


 水のいらない部屋で使用できるシャンプーだ。


 病気の時や介護なんかで役に立つんだよコレ。薬局には普通に売っていたけど、キャンプ用品のコーナーにあるとは考えてなかったんだが、ちょこんと陳列してあった。


 実は既に使用したんだよ。さすがに風呂で髪を洗うほどの気持ちよさってのは無いけど、すっきりさっぱりとはするし臭いなんかも気にならなくなった。


 便器にもフワフワな便座カバーを取り付けてやったぜ。





 けっこう物品は充実してきた気がするな。


 入りきれない物資は女性トイレに置いていて、男性トイレには簡易トイレを設置してある。


 衣食住、今のわけわかんない状況の中でそれなりに形になったよな。


 ちょっと疲れたぜ。


 一度休憩がてら基地から楽園に移動しますか。蜘蛛タブレットも暇してるんじゃねえかな。


「あっ!!」


 トイレは基地に名前を変更したし、流石にそろそろ蜘蛛タブレットも無いだろう。何か名前を考えてみようか。


「…………………………くも作とタブ造だとどっちがかっこいいかな?」


 俺はぴょんぴょん喜ぶ蜘蛛タブレットの姿を思い浮かべてほほ笑んだ。

実は一番書きたかった場面です。


秘密基地。


防空壕に作って、ゲジゲジが降ってきたのはいい思い出です。


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