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1.なぜだろう。DIYよりも日曜大工の方がしっくりくる俺は古いのか!?

新しいお話スタートです。

せひぜひお付き合い頂ければ嬉しいです。

よろしくお願いします!!

 うおー!!!


 凄いぞ。マジで品揃え半端ね~。


 見上げるほどの高さの棚がズラリと並んでいる。その光景はまさに圧巻。


 通路も広いし、馬鹿でかいカートもテンションが上がる。


 なんたって通路には空港とかにある動く歩道が設置されているし!!


 棚の一番上の商品見過ぎて首も痛くなりそうだぜ。


 ちなみ、今俺がいるのは最近出来たばかりの、2階建の超大型ホームセンターだ。


 オープンして1年と半年ほど。


 ずっと来てみたかったが、色々ごたごたして来れなったからなあ。


 入り口でもらったパンフレットには東〇ドーム8.6個分の売り場面積と書いてあった。


 とんでもない広さだな。東〇ドーム行ったことないけどさ。歩いてみると理解できる、この広さ。


 しかもホームセンターと謳ってはいるが、本屋やら薬局やら歯医者なんかも店舗ん中に入っているんだから恐れいるぜ。


 ガラガラとカートを押しながら、すでに目当てのお一人様一点まで! のテッシュペーパーとトイレットペーパーを手に入れ、さらには激安のインスタントラーメンも箱買いできた。


 ノルマは達成だ。


 あとは、ゆっくりと店内を見て回るとしますか。


 おっと、あれはなんだ?


 バカでかいバールのようなもの。というかバールだ。ほかにも色々な種類のバールがある。


 どんだけ種類あんだよ。


 今日一日で回るの無理かもしんね。


 バールのコーナーの隣りは、斧コーナー。


 なんだよ、斧コーナーって。物騒じゃね?


 なんつうか、斧見て思いついたのが、ジェイ〇ンなんだが、年がバレちまうぜ。


 でも、収集癖があるわけでもないし、刃物マニアって訳でもないんだが、斧とか、さっき見かけたでっかい包丁とか、厨二心がくすぐられちまう。30過ぎたおっさんでもやっぱり、ワクテカが止まらない。


 は~、超大型ホームセンター、超楽しい――――



「うおっ!?」


 思わず立ち止まった。


 変な声が出ちまったじゃねえか。は、恥ずかしい……誰も聞いてないよな。


 突然店内の照明が暗くなったのだ。


 停電?


 結構怖いぞ。


 目が慣れてないからよく周りもわからんし。


「ギャー!!」


 突然甲高い叫び声が、後ろから聞こえてきた。


 ビック!! ってなっちまった。カート握ってなかったら転んでたかも。


 なんだ?


 真面目にビビったんだが。漏らしちゃいないがな!


 振り返ってみると、3メートルくらい離れたところの通路の床でバタバタ何かが動いてた。


 暗くてわかりにくいが、よく目を凝らすと激しく動いているのは足だとわかった。


 床に人が倒れている。


 しかし、妙だ。


 なんだあれ?


 倒れている人の上に、黒い大きなかたまりが覆い被さっている。


 ゆさゆさと揺れている黒いかたまりは人ではないシルエット。


 四つ脚の動物のようだ。


「犬?」


 でっかい犬か?


 もしかして盲導犬か転んだかなんかした主人に駆け寄ったとか?


 だが、「た、助けて!」とかすれた声が聞こえて、尋常じゃない事態なんじゃねえかと思い直す。


 だ、大丈夫か! 襲われてるのか!!


 ま、まさか、く、熊とかじゃないよな?


 …………いや、違う!?


 徐々に闇に目が慣れていく。


 よく見ると犬じゃねえし。 変な見たことない動物だし。


 暗い中でも、獣が激しく身体を動かす度に通路に飛び散ったものが、明るければ真っ赤な血液で、それが床に倒れて、もがいている人のものだなんて、簡単に想像できる。


 ヤバい! 大変だ!!


 何か、あの動物をどうにかできるものは何かないか――――――――


 目についたのは、手頃なサイズの斧。


 持ち上げると、思ったよりも重い。


 一瞬頭の中で自分に使いこなせるのかと不安が掠める。自慢じゃないが体力にも筋力にも自信はない。マジでだ!!



 だが、そんなこと言ってる暇はねえ!


 さっきまでもがいていた人の動きが鈍い。声も聞こえない。


 洒落にならないぞ。どうにかして助けないと。


 俺は、覚悟を決め、斧を肩に担ぐように構えると、駆け足で獣に近づいた。そして勢いそのままに、力の限り振り下ろす。


 あああああああ!!!


 肉を裂き、骨を断つ鈍い手ごたえ。


 正直気持ちの良い感触ではない。


 斧の刃がしっかりと首の付け根あたりにめり込んでいる。だが、獣は動きを止めただけで、そこから退こうとはしない。


 ゆっくりと獣か顔を上げて、薄暗がりに目が慣れた俺と目が合う。


 ヒュっと俺の喉から空気が漏れた。



 巨大なひとつ目。


 縦に裂けた口には無数の牙が蠢いている。


 ねちゃねちゃねちゃねちゃ


 化け物……という言葉が頭を過る。


 咄嗟に獣の首元に食い込んでいた斧を抜いていた。


 傷口から血が吹き出て、俺の顔や体にかかるが気になんかしてられない。


 もう一度、同じ傷口に斧を振り下ろす。


 その時の俺は倒れている人を助けなきゃなんて考えられなかった。ただ、目が合った異形の獣が恐ろしかった。


 斧を引き抜き、再び振り上げる。



「うわあああああ」


 だから口から飛び出したのは気合いの掛け声なんかじゃなくて、恐怖の色を帯びた叫び声。


 振り下ろした斧は、獣の顔面の目玉部分に深くめり込んだ。


 ギチギチと牙を鳴らしていた獣は、ギッ! っと一声鳴いて、ゆっくりと倒れて動かなくなった。



「はあ、はあ、はあ、はあ……」


 荒い息が、自分の物だと気づくと、頭が少し冷静になっていく。


 そ、そうだった!!


 化け物の下いた人はどうなった?


 無事か?


 俺は、口の中に入ってきた化け物の血を服の裾で拭いて、ふらつきながら倒れている人の様子を確認した。



どうぞよろしくお願い致します。

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