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第98話



「さくら〜。今日は天気がいいから『屋上庭園』に行くかー?」


朝、いつものように寝ているさくらに声をかける。

今日のさくらは目が開いていた。

頭を撫でて頬にキスをする。

しかし視線は天井から動かない。

表情も変わらない。

最近のさくらは、時々目を開けている時もある。

意識は戻っていないが・・・


セルヴァンたちの話では、高熱を出していた時もやはり目を開けていることがあったらしい。

さくらに『愛称』を呼ばれて『目覚めている』ことに気付いたそうだ。

ハンドくんの話だと、さくらの意識は『(ゆめ)(うつつ)狭間(はざま)にいる』とのことだった。


時々、身体を起こそうとしたり手が動いたりするが、それは『さくらの意識と繋がって(リンクして)いるから』だそうだ。

もう少しリンクが強まれば、こちらで食事をさせることも出来るらしい。


・・・いまは何も食べていない。

水分と口の中で溶ける栄養物(タブレット)を、ハンドくんたちが与えているが・・・


だから以前より更に身体が弱っている。

ちょっとした熱や咳でも悪化しかねない。

悪化させれば死に直面する。



さくらが『帰ってきた』頃は、表情ひとつ変えずに眠り続けるさくらを心配するヒナリが離れようとせず、飲食もしなかった。

「さくらが何もクチに出来ないのに、私が食事するなんて」と泣くヒナリは、ハンドくんに『離れないから食べさせられないだけ』と言われた。

ハンドくんから水分と栄養物をさくらが与えられる横でヒナリは自身の食事をしていたが、今はリビングで食事をするようになった。


睡眠もさくらが心配でひと時も離そうとしなかったため、ハンドくんに無理矢理さくらから引き離された上、さくらの眠るベッドに結界を張られた事もある。

泣き叫ぶヒナリは結界にしがみつき、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。

目覚めたヒナリは、セルヴァンとドリトスから『さくらを抱きしめていたらいつまで経っても回復しない』と、少し強めに叱られた。


そのためヒナリは『夜寝るとき以外はさくらを抱きしめない』と約束した。

ただし『屋上庭園』で揺り椅子(ロッキングチェア)に座って、さくらを『膝だっこ』する事は許されている。




さくらを連れて部屋を空けていると、神々が室内を『清浄化』させてくれている。

さくらの身体が少しでも癒されるようにということだろう。





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