表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/449

第91話



「ジタンがな。アイツらが此処に来た事を知って、慌てて飛んできたんだ。・・・ジタンもアイツらがさくらと会うのを危険視してる。アイツらは『聖なる乙女の館』の掃除が終わり次第、そっちに移ることになった」


王城(ここ)には『さくら信者』が多い。彼らが『聖なる乙女』に危害を加えないための対策らしい。現時点でも『聖なる乙女』の世話を拒否する者たちが殆どで、必要最低限の世話しかしていないようだ」


「ジタンの話では、居を移る前に『この世界のこと』『この国のこと』に加え、『さくらのこと』も教えるそうじゃ」


「それでも・・・話を聞いただけで、さくらのことを『知ったつもり』になっても、さくらが望まない限り絶対会わせない!」


たとえ、さくらが望んだとしても、『理由』をつけて私が絶対に会わせたりしない!


ヒナリの『宣言』に男たちは同意の意思を示して頷いた。



「・・・でもなぜ?どうして『さくら』の事を知ったの?」


「ヒナリ。俺たちがいない間に、さくらは『意識をなくした』らしいな」


「ええ。突然・・・でもすぐに目を覚ましました」


「その時『さくらの意識』は1階の廊下を彷徨(さまよ)っていた。・・・俺たちを探して泣きながらな」


「さくらの声が聞こえた時に、ジタンが思わずさくらの名を口走ったらしい。アイツらが『さくら』を知ったのはその時だろ」


「あの時、廊下に出たワシらのあとを追いかけて部屋から出ようとしたらしい。ハンドくんたちに扉を押さえつけられて出られなかったようじゃが・・・会えなかったからこそ『さくら』に執着しているのじゃろう」


「さくらは、俺たちが『聖なる乙女のため』に集まっていると思っていた。だから『聖なる乙女』が召喚されて俺たちが『いなくなる』と思ったようだ」


セルヴァンとドリトスは『エルハイゼン国駐在の外交官』だ。

そのため、ジタンと共に『聖なる乙女』に会ったのは『仕事』としてだ。

そして『さくらと共にいる』のは仕事ではなく『自らの意思』なのだ。


ヨルクが呆れたように口を挟む。



「さくらもバカだよな〜。オレたち以上にさくらと一緒にいて『さくらバカ』になってるセルヴァンたちが、さくらより『乙女』をとるわけないのにさー」


「誰が『さくらバカ』だ」


セルヴァンにポカリと頭にゲンコツを落とされて「イッテー!」と頭を押さえる。


「『誰が』って『オレたち全員』が『さくらバカ』だろーが!」


ヨルクの言葉に思わず全員が納得する。

『全員』の中に、神々やハンドくんたちも含まれているだろう。



「さくら・・・落ち着いたら帰ってきて」


さくらの座椅子に触れて語りかけるように呟く。

誰もヒナリにかける言葉を持ち合わせていなかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ