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第81話



「セルヴァン様とドリトス様は、さくらからなんて呼ばれているのですか?」


ヒナリの言葉にセルヴァンとドリトスは顔を見合わせる。


「普通に呼び捨てだろ?」


「ですが、先程も・・・」


ヒナリの言葉に2人は合点がいった。


「『セルぅ』と『ドリぃ』か」


「ええ。そうです!」


「あれはさくらが見せる『甘え』のひとつだな」


「心細かったり寂しかったりした時、甘えたい時に口にしておるのう」


「『今は特に』多いな。・・・『長患(ながわずら)い』が原因だと思うが」


そう言って、腕の中で眠るさくらの頭を撫でる。

時々「セルぅ」「ドリぃ」の寝言と共にグスンッとグズるさくらの身体をセルヴァンが軽く叩き、2人が「大丈夫だ」「ここにおる」と声をかけると落ち着いて再び静かに眠り出す。



「・・・私たちには甘えてくれないのかしら」


少し淋しそうに呟くヒナリ。


「おや?気付いておらなかったか」


「本人たちは直接呼ばれていないからでしょう」


ドリトスとセルヴァンの言葉に目を丸くするヒナリとヨルク。


「私たちはなんて・・・」


「・・・焦らずとも、そのうちに分かるじゃろう」



さくらがグズる度にセルヴァンとドリトスが宥める。

何度目だろうか。

グズるさくらがそれまでと違う反応を示した。


「ふみぃ・・・」


「ヨシヨシ。どうした?」


グズり出したさくらの頭を撫でていると、「パパとママがすぐに「寝なさい」っていう〜」と寝ぼけてセルヴァンにしがみついた。


「2人はさくらの身体を心配しておるんじゃよ」


「違うもん。パパたちは『いじわる』してるんだもん・・・」


「じゃあ。いじわるな『パパ』と『ママ』はいらないか?」


「グスン・・・ヤダぁ。いる~」


苦笑する2人に慰められて、泣き疲れて再び眠りにつく。

さくらが深く眠ったのを確認したセルヴァンは、さくらの身体を軽く叩きながら「気付いたか?」とヒナリとヨルクを見る。

「え?」「へ?」と気の抜けた声を出した2人に、ドリトスと苦笑する。


「お前たちの『雛』は?」


「「さくら」」


2人は声を揃えて即答する。


「さくらにとって『お前たち』は?」


「「親・・・ア!」」


2人同時に顔を見合わせると

「私たちが『パパ』と『ママ』!」

「オレたちが『パパ』と『ママ』!」

と驚きあった。




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