第62話
「アイツらはー!」
「ワーッハッハ!」
ドリトスは楽しそうに大笑いをする。
そんなドリトスに毒気を抜かれたセルヴァンは、大きくため息を吐く。
「さくらも楽しんでおるようじゃな」
「ええ。それは『良かった』というか『困った』というか・・・」
「『良かった』んじゃよ。まだ本調子には程遠いじゃろうが・・・。少なくとも『呪い』でさくらが苦しむことはなくなったのじゃからな」
ドリトスはスッと笑いを消す。
セルヴァンの表情も険しくなる。
「ジタンは何も言わなかったが。『呪い』を見抜いたのはヨルクなのじゃろう?」
「本人は決して認めぬでしょうが・・・」
「『知識をひけらかす輩』よりはよい」
中途半端な知識は身を滅ぼす。
ドリトスもセルヴァンも、そうやって身を滅ぼしていった者たちを知っている。
中には生命を失った者もいる。
しかし、ヨルクにはヒナリやさくらという『守るべき存在』がいる。
あの子たちの存在がある限り、決して『間違える』ことはないだろう。
「ほれ。ワシらも早く行かねば、またヨルクがさくらに『おかしな言葉』を言わせて遊ぶぞ」
「さくらは面白がっていますけどね」
「それでこそ『さくら』じゃよ」
「・・・・・・そうですね」
確かに元気な頃のさくらに戻ってきている。
あとは、ゆっくりでも体力が戻るのを待つだけだ。
・・・焦る必要はない。




