第59話
目を覚ますと、ヨルクとヒナリが「おはよう」と言って両頬にキスをしてくれた。
なんか、くすぐったい。
「気分はどうだ?」とヨルクに言われて、苦しかった胸が少しラクになっているのに気付いた。
そう伝えると「だんだん良くなるからな」と頭を撫でられる。
不思議に思ってメニュー画面からステータスを確認すると、『ステータス異常:呪い』が外れていた。
「なんでー?」とアリスティアラに聞いたら、『あとで教えてあげますから』とクスクス笑って言われた。
そして『身体はまだ回復してないのですから、無理はダメですよ』と、しっかりクギをさされた。
別に『無理』はしてないよ?
『無茶』はしてるけど・・・
『それが問題なんです!』
へへへ。
久しぶりにアリスティアラのお説教を聞いたら、なんだか嬉しくなっちゃった。
ヨルクに抱えられてリビングへ行くと、ドリトスとセルヴァンが寛いでいた。
空いた皿を見て「私もおなかすいたー」と訴えたら、シャケのお粥を出された。
「むぅー」と膨れると、「寝てて、昨日からごはん食べてないだろ」とヨルクに頭を撫でられた。
ヒナリは「私たちもさくらと同じものでお願いします」と言っている。
「ヒナリたちは別の食べても良いよ?」と言ったら、「さくらと同じものが食べたいの」って笑われた。
でも、『食べられない』私の前で『美味しそうなごはん』を食べるのを避けてくれたのだろうなぁ。