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第56話



「『呪い除け』を付加した『セイジュのブレスレット』があれば、『呪いの軽減』だけでもある程度の回復は可能だった」


「彼女は『自分のチカラで呪いを浄化する』と言い張っていたの。誰かが『呪い』に巻き込まれるのを嫌ったのよ」


呪いを『送った本人』に返す方法はある。

しかし、それをすれば『相手は死ぬ』ことを彼女は知っている。

それは彼女が『彼女の生まれ育った世界』に古くから存在する『呪い返し』を、『知識』として知っているからだ。


そして神々は、彼女の『呪い』を自分たちに移すことも出来る。

しかし、それをした神は『この世界の(ことわり)を破った』として、『神籍(しんせき)を剥奪』されて下層の大陸に『()とされる』。


・・・・・・さくらは『それ』を望まなかった。



「この子は『呪いを受けたのが自分で良かった』と言って笑ったの。他の人なら・・・これから来る『乙女』が受けていたら死んでたかもしれないって」


呪いのことを話したら『国家間の問題』になる。

それに気付いたさくらは『黙ってる』ことを選んだ。


「自分の『辛い』『苦しい』『痛い』ならガマン出来るけど、『国単位』で辛かったり苦しい思いをさせるのはガマン出来ない。だから当事者本人に落とされる『天罰』や『神罰』の方が嬉しいんですって」


「『愛し子』らしいな」


他人(ひと)の生命より自分の生命を優先するような子だったら、ここまで我らが愛することは無かった」


「・・・すべては私のせいです」


この3ヶ月。一番近くで見守ってきたアリスティアラ。

さくらが胸を押さえて苦しんでいても、手を握って背中をさする以外何も出来なかった。

呪いに抵抗する度に高熱を出すさくらに、一晩中付き添っているしか出来なかった。


「もし私が、苦しむさくらのために(ことわり)を破って『呪い』に手を出して・・・『消滅』すれば、さくらはずっと自分を責めて嘆き悲しみます。私にはさくらを守り続ける『責任と義務』があります・・・それが分かっていたから、私には何も出来ませんでした」


アリスティアラの告白に誰も何もいえない。

この世界に来てからまだ日は浅いが、『さくら』という人物の『偽人(ひととなり)』を深く知っていたからだ。

そしてアリスティアラの『後悔や苦しみ』も。


「もし私ではなく別の神が実行して『消滅』したとしても、さくらは自らを責めて『己の意思』で眠ることを選び、二度と目覚めることはなかったでしょう」


「だが、さくらはもう呪いから解き放たれた。これからは時間をかけて、弱った身体を回復させていくだけだ」


創造神の言葉に「幼子たちに『祝福』を」と神々は祝福の言葉を口にして去っていった。



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