第5話
アリスティアラは気疲れしたのか講師業を放棄してるので、メニュー画面を次々開いて確認していく事にした。
「魔法を試すのは後にしてくださいね」
「はーい」と手を挙げて返答したら笑顔を見せてくれた。
『ステータス』を開いたら、さっきまで無かった『魔石投入』があったので『魔石投入~?するする~』と思ったら『魔石をいくつ投入しますか?』と表示が出た。
いっぱい作ったし、足りなくなったらまた作ればいいや。
そう思って『ぜんぶー』って返答。
『乙女の魔石23,352個を投入しました』の表示後、さっきまで『レベル1』だったのが『レベル411』に上がっていた。
下には『レベルが1から411にレベルアップしました』と出てる。
何なんでしょう?
『乙女の魔石』を投入しただけで、こんなにも簡単にレベルが上がっちゃうんでしょうか?
チートか?これが所謂チートなのか?
「投入した魔石の数を考えて下さい!」
アリスティアラの悲鳴に似た声に首を傾げる。
だって、乙女の魔石は何時でもいくらでも『自分で作り出せる』んだから、別に大量に『作り置き』しておく必要はないよね?
そう言ったら「それはそうですけど・・・」と言葉を詰まらせたけど、すぐに「そうですね。今のこの世界は瘴気が強まってますから。でも売れば高値で売れるんですよ?」良かったのですか?と聞かれた。
でも両手を組んでいる私を見て表情が固まる。
「あの・・・まさかと思いますが・・・」
うん。魔石作ってる。
「何を考えているのですか!」
『ヒント』の検索で『自動収納』の説明を読んだけど、実際にやってみた方が良いだろうと。
魔石精製も、両手を合わせるだけで意識をしなくても出来るのを発見したし。
「『いた~だきま~す』って手を合わせただけでも、数個は精製出来るんだよ!」
凄いよね!って言ったら呆れられました。
取り敢えずメニューで魔石が何個出来てるのか確認したら、5分程度で2,175個でした。
5分間ずっと続けて手を合わせていた訳じゃないけど、意識しないで作れて自動でアイテムボックスに入るなら、アリステイドで『乙女の魔石洪水』を起こす心配をしなくても大丈夫よね。
と言うわけで、魔石全部使ってレベルアップ!
『レベルが411から414にレベルアップしました』
「3つしか上がんなかった」って落ち込んだら、「まだレベルを上げる気ですか」って言われた。
だってレベルアップ出来るなら、やっぱりカンスト目指したいじゃない。
「残念ですがカンスト出来ませんよ。上限はありませんから」
あらビックリ!
じゃあ自分が強いか弱いか分かんないじゃん。
絡まれた時に、相手が強かったら『どこでもドア』で逃げるし、弱かったら突き飛ばしただけで殺しちゃうかも。
「これから行く大陸の人々は、そこまで強くありません」
それに『鑑定』スキルを使えば、相手のステータスを見ることが出来ます、だって。
それを聞いて、すぐにメニュー画面を開いて『スキル』を探すがなーい。
『検索バー』からスキルを検索したら『メニュー < 魔法 < スキル』となっていた。
直接スキルに向かわず魔法画面を選んでみる。
『攻撃』『防御』『回復』『補助』『スキル』とあったので『スキル』を表示。
そこにあった『鑑定』を有効化する前に、アリスティアラに確認する。
だって魔法は『後で教えてくれる』って言ってたからね。
たぶん、アリスティアラには私が弄っているメニュー画面が見えているだろう。
でも、スキルが『魔法』に含まれているから、勝手に弄っちゃダメかなー?って。
ちゃんと『約束』したもんね。
そう話したら、驚かれたけど「スキルの有効化はしていい」と言われた。
逆に、私がアリスティアラの『言いつけ』をちゃんと守って、「確認してくれたことが嬉しかった」らしい。
しみじみと「本当に『いい子』に育ってくれたわねぇ」って、まるで久しぶりに会った『親戚のおばちゃん』みたいな事を口にしていた。
とりあえず『鑑定』を有効化してメニュー画面を縮小化したら、アリスティアラの名前に『unknown』の表示が出ていた。
「なんで『正体不明』なん?もしかして『エセ女神』とか『女神モドキ』とか?やっぱり『ストーカー』・・・」と言ったら、「違います!」って全力で否定された。
だって『正体不明』なんて表示されているんだもん・・・
アリスティアラの説明では、地上に降りない神々は『鑑定出来ない』らしい。
じゃあ『地上に降りる神々』もいるって事?
そう聞いたら「秘密です」と、ニッコリ笑顔で言われてしまった。
だから質問を変更。
何らかの理由で『地上に降りている神々』なら、鑑定は可能?
そう聞いたら、少し考えてから「すべての神に言えることではないですが」と前置きをして、「名前には『地上で使っている名前』が、詳細に『神の名前』が表示されると思います」と教えてくれた。
そして『unknown』と表示される相手は、『神』か『神の御使い』だそうだ。
では『鑑定拒否』の魔法はあるのか?
もしあるなら、それを使われたらどう表示されるのか?
その質問の答えは、「鑑定拒否に似た魔法はある」「それを使った人は『不明』表示になる」そうだ。
しかし完全な鑑定拒否の魔法を使える人はおらず、魔法かスキルの非表示を使える人が『ほんの一握り』しかいないらしい。
でも鑑定スキルは『上級魔法』で取得可能なため、『鑑定士』以外に取得してる人は少ない。