第46話
「大丈夫よ。ヨルクはすぐに帰ってくるわ」
起きたら、ヨルクがいなくなっていた。
ヒナリにも心当たりはないらしい。
ヨルクを生まれた時から知っているセルヴァンにも、ヨルクが今どこで何をしているかは分からないらしい。
「雛を泣かせるとは困った親鳥じゃのう」
ドリトスがそう笑ってアタマを撫でてくれた。
いま私はベッドの上だった。
前日の体調不良と『悪夢』で泣いて。
そして今朝。
ヨルクがいないのに気付いて心細くて泣いていたら、見事に熱を出していた。
原因は『泣きすぎ』による精神疲労。
・・・ではなく、飛空船の一件から積み重なった精神疲労が原因。
飛空船の『悪夢』は、何度も繰り返し襲ってきた。
必ず自分が悲鳴をあげた場面で、現実でも悲鳴をあげて目を覚ます。
そのたびにヒナリもヨルクも抱きしめて慰めてくれた。
ヒナリに抱きしめられてウトウトしてるときにまた『あの場面』をみたけど、ヒナリに抱きしめられてヨルクが頭を撫でてくれる感触を感じていたから、悲鳴をあげずに済んだ。
そして飛空船が燃え落ちたのに、乗員全員がほぼ無傷だったのは『神だから』なのだろう。
「神は人を傷つけない」んだっけ。
以前、創造神が起こした『天罰騒動』で、そう自慢してたもんねー。
『悪夢』を乗り越えて、ぐっすり眠って目覚めたらヨルクが消えていた。
神様の話だと『さくらがぐっすり眠ったのを確認して出て行った』らしい。
ドリトスにアタマを撫でられていたら、だんだん眠たくなって目を閉じた。
ねぇ。『パパ』は・・・
「私がキライになったから、いなくなったのかなぁ?」
そうだったら寂しいな・・・




