第45話
「さくら。泣かないで。もう大丈夫よ」
ヒナリがさくらを抱きしめて慰める。
さくらが悲鳴をあげながら目を覚ましたのだ。
抱きしめるヒナリにしがみついて、泣きじゃくるさくらの頭をヨルクが撫でていると、少しずつ落ち着いていく。
「ほら。オレたちをよく見ろ。どこもケガしてないだろ」
「一緒に寝てるから大丈夫よ」
そう。『好きなだけ付き添っていればいい』と言われたのだから、オレたちは『添い寝』をする事にしたのだ。
さくらを真ん中に、オレたちが挟んで横になっている。
眠りに落ちたさくらだったが、何度も悲鳴をあげては目を覚ます。
オレたちはそんなさくらを、寝ずに付き添っていた。
「雛。ゴメンな」
「私たちのせいで、こんなに苦しめちゃって」
「ちが・・・もん。ヒック。2人は、守って、くれたもん」
必死で『違う』と繰り返すさくら。
さくらはあの時の『光』を知らないようだ。
神が見せた映像の『あの光』を見ていないのだろう。
「雛。助けられたのはオレたちの方だ」
「あの時ね。さくらの中から光が溢れ出したの」
「その光がオレたちを守ってくれたんだ」
「だからね、雛。私たちを守ったのは、さくら、貴女なのよ」
「ありがとう。さくら。私たちの雛」と言って、さくらを抱きしめるヒナリ。
そのヒナリごとさくらを背後から抱きしめる。
「必ず雛を守る」と心に誓って。