第443話
さくらとハンドくんの戦闘が終わり、メインの戦闘を受け持っていたジョシュアたちのパーティとルーナたちのパーティ。
そしてスゥが解体を終えると、シーナが周囲を見回してからさくらに近付いて来た。
「ご主人様。師匠。
申し訳ありませんが、ここで休憩頂けますでしょうか?」
「なんだ?もう疲れたか?」
「ええ・・・彼女たちが」
シーナの視線の先にはジョシュアとジョアンナがいる。
しかし、同じ『ヒト族』のロンドベルは特に疲れた様子はない。
見た目『文官』だし策士経由で軍師になったが、神聖騎士団に所属していた以上、戦闘能力は高い・・・魔獣にはまだ弱いが。
「ベルくんは特に疲れてなさそうだが?」
交互に戦闘に出ている以上、戦闘回数は同じだ。いや。ソロとペアでは倒す魔物や魔獣の数が半減している分、解体する手間を含めてもジョシュアたちの方が負担は軽いはずだ。
〖 ペース配分が出来ていませんね。
身体を休ませられないからこそ、疲れが蓄積しています。
・・・このまま進んでも、効率が悪くなるだけですね 〗
「・・・そこの広場で『泊まり』にするか?」
〖 そうですねえ。
まだ昼前ですが・・・今日の遅れは明日取り戻しましょう。
ロンドベル。明日は『2対1』で戦闘します。
今日はしっかり休みなさい 〗
「出来れば『魔物専門』になりたいですねぇ」
「そんなこと言うと『魔物しか出ないダンジョン』にしか入らなくなるよ」
「そんなダンジョンってあるんですか?」
「あるよ。逆に『魔獣しか出ないダンジョン』もあるし。
ハンドくんが『ロンドベルが魔獣に慣れるためです!』って連続で選びそう」
〖 『選びそう』ではなく確実に選びます。
次のダンジョンは『魔獣専門ダンジョン』です 〗
「嫌がらせですかー!」
〖 もちろん・・・違います。
そろそろ、『魔獣の肉』が少なくなってきたでしょう?
その補充のためです 〗
ハンドくんの言葉に、さくら以外の全員がアイテムボックス内を確認していく。
料理をしないジョシュアたちも、スゥたちに言われて魔導キッチンを購入して・・・料理と言えるのか?
『魔獣肉のステーキ』を自分たちで作るようになった。
『あれは切った肉をフライパンで焼いて、塩胡椒を振っただけです。
ソースすら作っていませんね』
・・・『素材の味を最大限に引き出した』料理?
『上手に言い換えましたね。
そのうち、スゥたちに『料理レッスン』でもしてもらいましょう』
ベルくんは?
『アレは遠征経験があります。
『野営料理』ですが・・・セルヴァンと会わせて野営料理を教えてもらいたいですね。
ロンドベルは野営料理をもっと知れば、魔獣の肉を獲るために、魔獣に対してもっと積極的に戦えるでしょうね』
しかし、その前に大事なことがある。
ジョシュアとジョアンナは、『さくらの正体』にまだ気付いていないのだ。
それも、月1回の神殿で祈りを捧げに行った時に見た『さくら様の像』を見て何となく気付き始めていた。




