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第438話


「さくら様」


スッパーンッ!


「失礼しました。『ヒナルク』様」


ギルドで借りた宿泊所のさくら部屋で、すでに恒例となった作戦会議に参加するために訪室したロンドベル。

『さくら様』と言ったことでハリセンを受けたロンドベルは『ヒナルク様』と言い直した。


〖 誰かに聞かれたらどうするのです? 〗


「はい。すみませんでした」


ロンドベルにしてみれば、神聖騎士団時代に聞いた『さくら様』が目の前にいて、さらに共闘メンバーに加えられているのだ。

だいたい、初見で忠誠を誓ったのだ。

気を張っていないと、さくらを前にした時に名前を間違えてしまう。

一度、スゥの前で「さくら様」と言ってしまったことがあった。


「名前を間違えないで下さい。

ご主人の身に危険が迫ります。

・・・ただでさえ『可愛い男の子』として目をつけられているのです。

ユリティアでも下半身を露出させた女たちがご主人の前に現れたこともあります」


「変な人たちだったよね。

周りの人たちの話だと「前からおかしかった」って言ってたっけ」


「ご主人。そのことなんですが・・・

その時の女性3人。

そしてその後にご主人の周りで起きていた小競り合い。

そのすべてが、あのジョアンナたちをダンジョンに置き去りにしたという仲間たちだった可能性があります」


「え?そうなの?」


「はい。『鯨亭』で食事をする際、ご主人は見えなかったと思いますが、ご主人の姿を見ようとしている者たちがいました。

その中の数名の容姿がジョアンナたちから聞いた仲間たちとよく似ています」


〖 よく気付きましたね。

その通りです 〗


「え?ハンドくん、知ってるの?」


〖 もちろんです。

ですが、あの連中は私たちが町を出てから見ていません。

最近になってユリティアに現れたらしいです。

ジョシュアたちを殺すつもりで置き去りにしたと自白した直後に、保護されていた神殿から逃げ出したようです 〗


「オレたちの前に現れる?」


〖 心配しなくても大丈夫です。

もし目の前に現れたら、一瞬で吹っ飛ばしてあげます。

どこまで飛んでいくでしょうねえ 〗


「どこまで飛ばせる?」


〖 そうですねえ。

北の山か南の川の中。

あとは『隣国の町』ですね 〗


「『隣の国』って!」


〖 ・・・何ですか? 〗


「どうした?

隣の国に飛ばしたら、なんか問題あるのか?」


ハンドくんの言った『隣の国』はゴブリンの国だ。

しかし、さくらの様子から『そのこと』を知らないようだ。

そしてハンドくんの様子から『わざと教えていない』のだろう。

「はあー」と大きく息を吐いたロンドベルは苦笑する。


「ヒナルク様。

『隣の国』に飛ばされたら不法侵入で国交問題になります。

『友好国』なので、関係を壊すのは困ります。

ハンドくん。

飛ばすなら『国内』でお願いします」


「ご主人。

獣人を兵にしたい連中に口実を与えるのは得策ではありません」


「あー・・・そういえば。

それでベルくんは『操ってる道具を奪ってこい』って言われたんだっけ」


「そうです」


〖 やっぱり、国王を消し去って・・・ 〗


「そうしたいのは山々ですが、今は『父親に似た王女』がいるだけなんで・・・

出来れば両方を消し去って、別の誰かに後を継いで欲しいですよ」


「ベルくんが王様になれば?」


「私は国王の器ではありません」


「宰相?」


「私は神聖騎士団でゆる〜く働ければいいです」


「私はだら〜りと」


〖 冒険旅行を切り上げて帰りたい? 〗


「言ってない!」


〖 おや?

『休息はだらりとしたい』だけでしたか。

ロンドベルは王女と結婚して国を乗っ取ったらどうです? 〗


「何の罰ゲームですか!」


〖 王配になれば楽出来るでしょう? 〗


「冗談でもやめて下さい!

ただでさえ国王が甘やかしたせいで常識が欠如してるのに。

それなら国を出た方が幸せです!」


ロンドベルは心底イヤそうに吐き捨てた。


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