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第437話


フィールドで5日間ずっと『模擬戦』を繰り返し、近くのダンジョンで訓練を活かした戦闘を実戦した。


〖 ジョシュア。何をしているんです!

戦闘中に持ち場から離れるバカがいますか!

ジョアンナ。ジョシュアに助けてもらうことを前提に動くんじゃありません!

ロンドベル。2人に気が散っています!

目の前の魔獣に遠慮なく食われなさい! 〗


「それは遠慮させてくださーい!」


ハンドくんの指導(スパルタ)に悲鳴を上げるロンドベルと、悲鳴すら上げられないジョシュアとジョアンナ。

スゥたちは、自分たちも旅を始めた頃はこんな風だったと懐かしく思う。


「スゥ。来たぞ」


「はい。

ルーナ。シーナ。行くよ」


さくらの言葉に、後衛にいるスゥがルーナとシーナに声を掛けて武器を構える。

別ルートから寄って来た魔物と魔獣の姿が見えると、3人は駆け寄って戦闘を開始する。

少しでもさくらから離れて戦うためだ。


「ハンドく〜ん」


〖 はい。どうぞ 〗


「ほーい」


さくらとハンドくんの短い意思疎通の後、さくらはクルリと『来た道』を振り向く。


「金ダライ、どーん!」


さくらの言葉と同時に現れた魔物の頭の上に金ダライが直撃した。

パシュッと軽い音ののち、脳震盪を起こしている牛の頭に角がある人身姿の蚩尤(しゆう)の額に穴があく。

光線(レーザー)銃の白い光は、そのまま一列に並んで続いていた仲間たちの頭部をも貫いていった。



〖 はい。お疲れ様でした。

銃をしまって休憩にしましょう 〗


蚩尤が出てくると、ハンドくんは私を過剰に心配する。

姿が人間や獣人に近いからだろう。

でも、あんな『頭は完全に牛』という蚩尤は、今のところは大丈夫だと思う。

身体だって、『筋肉ムキムキ』を通り越して『毛の生えていないヒグマ』みたいに巨体だ。

後ろ足で立った巨大なクマの頭が大きな牛、なのだ。

まだ聞いたことはないけど・・・鳴き声はクマと牛のどっちだろう?



〖 さくらの疑問はそこですか? 〗


「だってー!

・・・ハンドくんはどっちか知ってる?」


〖 知りたいですか? 〗


「うん!」


〖 残念ながら、どちらもハズレです 〗


「・・・じゃあ、どんな鳴き声?」


〖 それは今後の『お楽しみ』ですね。

このダンジョンには、まだまだ蚩尤が出て来ますから。

さらに、さくらが笑い転げる魔物が出て来ます。

それも『お楽しみ』に 〗


さくらはハンドくんに頭を撫でられても頬を膨らませている。

さくらは結界を張ってもらって休憩タイムに突入中だ。

さくらが倒した蚩尤は、ハンドくんたちが経験値稼ぎのため解体を請け負っている。

解体のナイフでひと刺しするだけなので、すでに作業は終了している。

スゥたちも、自分たちの解体作業をすでに終わらせて、今は『年長組3人』にマンツーマンでついて解体作業の指導をしている。

シーナはジョシュア。

ルーナはジョアンナ。

スゥがロンドベルを担当している。


戦闘の相性などを考慮して組ませたのだが、結構いいコンビのようだ。


「ジョシュア。

そこにナイフを入れると・・・」


「え?・・・あ、ら?」


ありゃりゃ・・・ジョシュアったら血管を傷付けて『血の海』を作り出しちゃった。


バッコーン!!


ハンドくんのハリセンが、ジョシュアとシーナの後頭部を直撃した。


〖 シーナ。教えるならちゃんと教えなさい。

ジョシュア。教わるなら神経を集中しなさい。

これが『罠の解除』だったら、二人仲良く『手足を吹き飛ばす』か『頭を吹き飛ばしてあの世いき』です!

死にたいならよそ行って来なさい。

戻ってこなくても大丈夫ですよ 〗


「「 すみませんでした!」」


ハンドくんの(いか)りに、二人は慌てて頭をさげたのだった。


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