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第43話



「セルヴァン様。私たち、さくらに付いていたいです」


泣き落ち着いたヒナリはセルヴァンに訴える。

今いるのはさくらの寝室の隣。

不思議な空気をまとう部屋だった。

ヨルクは黙って俯いているだけ。


「ワシらは責めてはおらんよ」


ドリトスにそう言われても、2人は自分たちを責めていた。


「ヒナリ。ヨルク」


セルヴァンに呼ばれて、2人は身体をピクリと震わせる。

その様子にセルヴァンは苦笑する。

2人が小さい頃から、隠し事・・・特に叱られる事をしたときはこの状態になる。


「さくらはお前たちの『雛』だろう?」


セルヴァンの言葉に2人は何度も頷く。


「『親鳥』なら雛を信じろ」


トントントンと横から音がして、全員の目がそちらへ向く。

ハンドくんがホワイトボードに『日射病』と書いて見せていた。


「へ?どこの言葉?」


「日本語。さくらの国の言葉だ」


「私は『平仮名』と簡単な『漢字』ならわかるけど・・・」


勉強はしたが初めて目にする言葉に、ヨルクとヒナリは困惑する。

それに気付いたハンドくんが、『日射病』の下に『にっしゃびょう』と平仮名で書く。

そして『()(した)(なが)(あいだ)いると ()こる病気(びょうき)』と、ルビ付きの説明文も書き記す。


「さくら、すごく高い熱を出してるの。汗も酷くて!」


「さくらは大丈夫なのか?」


大丈夫(だいじょうぶ)

(いま)神様(かみさま)()てる』

普通(ふつう)病気(びょうき)ならすぐに(なお)る』


「良かった・・・さくら」


ヒナリは安心して泣き出す。

ヨルクはそんなヒナリを抱きしめて「良かった」と繰り返す。


「寝込んだ時は?」


『あれは普通(ふつう)病気(びょうき)ではない』

精神(せいしん)消耗(しょうもう)(つか)れ、悪意(あくい)にあてられた場合(ばあい)などは、神様(かみさま)でも(なお)せない』


「今の弱った身体は?」


ハンドくんは逡巡したあと『(なお)せない』とひと言書いただけだった。




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