第42話
「ん・・・ヒナ、リ?」
どれくらい経ったのか。
長く感じたが、実際にはそれほど時間が経っていないのかもしれない。
さくらの掠れた声が、ベッドの端に座って汗を取っていたヒナリの名を呼んだ。
「さくら!」とヒナリが声をかけると、さくらの目が薄く開いていた。
「あー。ヨルクもいるぅ」
顔を横に向けてヨルクの姿を確認したさくらが、弱々しい笑顔を見せる。
「ハンドくん。おみず~」
さくらの視線の先には、ハンドくんがコップを持っていた。
「飲むのか?」と聞いたら「のむー」と言うので身体を起こしてやる。
背中が熱くて思わずギョッとした。
背中を支えていると、ハンドくんがさくらに水を飲ませる。
さくらの手はチカラなくベッドの上にあった。
「ヨルク。さくらを寝かせて」
さくらの汗を押し取っていたヒナリに小声で言われて、さくらが目を閉じているのに気付く。
「ヒナリ」と声をかけて、さくらの背にアゴで指し示す。
ヒナリがさくらの背に触って、すぐベッドにも触る。
「こんなに」と呟く声が聞こえた。
清浄魔法を掛けて、篭もった熱をとりのぞいてからさくらを静かに寝かせる。
支えていた背中から、自分にまで熱が移ったかのように身体が熱くなった気分だ。
扉がノックされて、セルヴァンとドリトスが部屋に入ってきた。
「セルヴァン様・・・」
ヒナリがセルヴァンに抱きつく。
セルヴァンは無言でヒナリを抱き止めて頭を撫でているが、目線はさくらの方を見ている。
「ヨルクもおいで」
部屋の中を見回していたドリトスに促されて、ヨルクは渋々部屋を出た。




