表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
411/449

第411話


「それで・・・師匠が一瞬で気絶させてくださいました」


スゥの報告を聞いて、ロンドベルは大きく息を吐き出した。

まあ、簡単に言えば「獣人は殺せ」と言われていたようで、スゥたちの部屋に入った連中は実行に移そうとして『ハンドくんたちが眠らせた』そうだ。

・・・紙のハリセンで。


〖 アイツらはこのままロンドベルに引き渡します。

あなたたちは手を出さない。いいですね? 〗


ハンドくんの言葉に3人は頷いた。

不満はあるだろう。

しかし、スゥたちにとって、師匠(ハンドくん)の指示は絶対だ。



〖 ロンドベル。

『ジョルトの一件』は他言無用に願います。

あの子たちに聞かせるにはまだ早すぎます 〗


「そうだな。

あの子たちのココロのキズはまだ癒えてない。

あの時の恐怖を思い出させたくはない」


「・・・はい。分かりました」


ハンドくんの隠された言葉を、ロンドベルは一瞬で理解した。

一番聞かせたくないのはさくら様なのだと。

では、ハンドくんはすでに知っているのだろう。

『すでに、王都に連行されたジョルトは仲間たちと共に公開処刑された』ことを。

さくら様が神々に愛されているのであれば、ハンドくんが『神々から直接お聞きになった』という可能性がある。

だからこそ、王都より離れたこの地で知り得たのだろう。


「ハンドくん。この連中、起こすの?」


〖 いいえ。このまま放り出します。

ロンドベル。この者たちは何処に泊まるのです?

この町に宿はありませんよ 〗


「ええ。そのため中央広場の露店街より北に王族専用の別荘があります。

そこに従者用の館もあり、そこを使うことになっています」


〖 では、その入り口に放り出しておきましょう 〗


「お手数をおかけします」


ハンドくんたちが一斉に動いて、ハンドくんたちが築いた人山(ひとやま)を一瞬で転移させて片付けました。


「皆さん。お騒がせしました」


スゥたちに向けて頭を下げるロンドベル。

目を丸くして驚いていたスゥたちだったが、すぐに我に返ったスゥが「頭をお上げ下さい。私たちは大丈夫です」と声をかけた。


「なぜ私たちにあたまをさげられたのですか?

私たちは獣人ですよ?」


「ええ。ですが、獣人とはいえ、あなたは護衛でしょう?

他のお2人もヒナルク殿の『共闘仲間』と伺っております。

それに、どのような種族であろうとも『国民のひとり』に違いありません。

そして無礼を働けば、上に立つものとして相手に謝罪するのは当然です」


ロンドベルの言葉に驚いて・・・さくらに視線が集まる。


「エンテュースの神官たちや神官長、警備隊やユリティアのボズや女将のように『獣人だからと言って差別しない』

ただそれだけだ。

・・・いい加減、馴れろ」


さくらが苦笑していると、ロンドベルも彼女たちの事情に気付いたのか「ゆっくりでいいので馴れて下さい」と笑う。

その表情に緊張していた3人も肩の力を抜いて微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ