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第404話


「ここまでありがとうございました」


女性2人は地面でへばっていて、何も話すことが出来ないでいる。

それを良いことに、青年は案内代金として金貨5枚を支払ってくれた。

支払い金額は『払う側』が決める。

最低でも銀貨1枚と言う規則があるが、上限は決められていない。

だから、金貨5枚は破格だがそれ自体に違法性はない。

だから、くれると言うから貰っておく。



門には門兵と門番がいて、出入りの管理が正しく機能していた。

すでに慣れた手続きで済ませて町の中へ。


「誰が来てるかなー?」


「バティとジェシー。

うーん。『依頼処理』で必要な素材があるなら出せるけど」


〖 すでに、その旨は伝えてあります。

それを対価に部屋を確保しました 〗


「さすがハンドくん。

正当な取り引きなら問題にならないからね。

文句言う前に、自分も何か取り引きすれば良いだけだし。

ああ。ギルドが見えてきた」


〖 依頼書は受け付けに預けてあります 〗


「ありがとう。ハンドくん」



冒険者ギルドに近付くと、建物の周りには冒険者と冒険者に見えない人たちが(つど)っていた。

冒険者の中には、さくらたちを知っている者も多かったようで、中に入る邪魔をしようとした男たちを止めてくれた。


「あら。いらっしゃい」


「久しぶりです」


「ああ。元気そうだな」


「はい。おかげさまで」


バティとジェシーに軽く挨拶をして、受け付けに近寄る。


「ハンドさんから連絡を受けて、すぐ此方(コチラ)に参りました。

その際、ハンドさんにこの建物の前まで送って頂きました」


「門番も門兵もいなくて驚いただろ」


「はい。それと、皆さんが町を出られた直後だったそうで。

ご連絡頂いたことのお礼をすぐに伝えられず、申し訳ございません」


「いや。すぐに動いてもらえて良かった。

ギルド長が罪を逃れようと『此処に自分を残せ』と訴えていたからな」


「はい。此処の管理をされていた警備隊の方からも伺いました。

その方にハンドさんが私たちの身を証言して下さり、ギルドの権利を明け渡してくださいました」


バティは「それで・・・」と言いながら10枚近くの書類を出してきた。

個人情報を漏洩した者たちの名前が20名ほど連なり、ギルド法に(のっと)った罰が名前の後ろに記載されていた。


〖 すでに全文確認済みです。

ついでに主人名義で署名もしてあります。

内容はあとで説明しますから、今は仕舞ってください。

早く終わらせないと門前に捨ててきた『女怪獣』が、鼻息荒くして襲って来ますよ 〗


「それは困る」


〖 という訳で、さっそく依頼書を出してもらえますか? 〗


「はい。此方です」


「・・・アレ?

横領された依頼書がない」


〖 あれは急ぎでしたから、先に処理しています。

私たちはコレです 〗


「私の担当はこの山ですね。

ルーナたちはこれでしょう」


「ああ、はい。

これなら私たちから出せます。

・・・他に依頼はありませんか?」


「売りたい物がございましたら仰ってください」


シーナはキバやツノをメインにあげていく。


「それらでしたら、ユリティアで依頼が多く出ていました。

問い合わせますので少々お待ちください」


「はい。お願いします」


「では、いま出せる依頼品を先に提出しましょう。

先にご主人からどうぞ」


さくらはレア物をメインに提出していく。


「はい。すべて確認しました。

金貨380枚。銀貨920枚。銅貨1,350枚となります」


「はい。ハンドくん。確認お願い」


出された3つの革袋。

それをハンドくんは自分のアイテムボックスに入れて、何枚増えたかを確認していく。


〖 金貨8枚。銀貨11枚。銅貨23枚が多く入っていました 〗


そう言って、ハンドくんが余剰金を返却する。


「あら?・・・すみません。確認します」


〖 これではないですか?『依頼手続き代』。

緊急依頼で金貨1枚取っています 〗


「え?!あ!本当です。

これは前任者が受け付けましたが、私が手続きをしたものです」


〖 横領・・・ですね。

この町は比較的『若い町』のため、最初にこの紙を見せられたら信じてしまうでしょう。

それにこの依頼申請書は冒険者に見られません。

掲示板に貼られるのは依頼品と必要数、依頼期限と成功報酬を記載した依頼書です。

だからこそ、これまでバレずにいた訳ですね 〗


「じゃあさ。あのギルド長が『残る』と言い張ったのも、『他の町のギルドから職員が来たら横領がバレる』から、その証拠隠滅のため?」


〖 その可能性は高いですね 〗


バティの表情は変わらないものの、漏れ出すオーラが・・・


「バティ。やっつけたい気持ちは分かるけど、先に仕事を済ませて。

ちょっと警備隊を呼んでくるわ」


「ええ。すみません。失礼しました。

返金、ありがとうございます。

それと不正に気付いてくださり、ありがとうございます」


バティは深々と頭を下げてお礼を言うと、次に待つスゥの依頼を受け付けた。

こちらも『依頼手続き代』が含まれていたため正しい金額が支払われた。

ポンッという音がしてハンドくんが現れると、バサリと音と共に大量の紙が背後の事務机に乗せられた。


「あれ何?」


〖 ユリティアで滞納している依頼書です。

私たちが受けられる物を運ばせました 〗


「あれすべて片付く?」


〖 今から分類します。

先にそちらの依頼処理をお願いします 〗


「はい。お手数をおかけします」


〖 部屋を借りましたからね。

その礼だと思って貰えばいいです 〗


「それに、彼女たちのアイテムボックス内を整頓するためだからね」


「本当に、何から何までありがとうございます」


バティはお礼を言うと、シーナが提出した素材を確認し始めた。


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