第400話
討伐の終えて迷宮からの帰り道。
シーナが「ご主人様。この先に『何者か』がいます」と注意を促してくれた。
うん。『危険察知』魔法は反応していないけど『気配察知』の魔法は『15人いる』と教えてくれている。
そして、すでにハンドくんたちが『正体』を確認してくれている。
冒険者のパーティだそうだ。
ただ『ケガをしています。大したケガではなく、唾でも付けておけばいい程度の』との事だった。
どうやら魔物に襲われて逃げてきたらしい。
何ともお粗末な冒険者たちだ。
「ルーナ。スゥ。ちょっと見てきてくれるか?」
「「はい」」
この子たちが何故か気に入っている『警察の敬礼』をビシッとキメて『隠密行動』に入った。
シーナと共に変わらぬ速度で近付くと、「いやー!来ないで!」という叫び声が聞こえた。
すぐに「逃がすな!殺せ!仲間を呼ぶかも知れん!」と命令する男の声がして、ドドドド・・・とスゴい音とガチャガチャという金属音を立てて此方へ近付いて来た。
「ごしゅじーん!」
「助けて下さーい!」
2人の後ろを、まあ『強そうな鎧』を着て、抜刀した片手剣を手にした『おっさん』や『若者』まで幅広い集団が追いかけてきた。
私の前に庇うように出ていたシーナに「2人を連れて後ろへ」と伝える。
渋るシーナに届く程度の小さな声で「アイツらは『獣人』を軽視している。とりあえず私たちが『何とか』するから」と伝えると、頷いて2人と一緒に私の後ろへ下がった。
「おい!小僧!その後ろの連中を寄越せ!」
「断る」
私の言葉に嘲笑があがる。
「おい。俺らを知らんのか」
「魔物に襲われてシッポ丸めて逃げるような軟弱パーティなんか、知らんし知りたいとも思わん」
さすがに私の言葉にイラッとしたようだ。
威圧感を醸し出しているんだけど・・・ハンドくんの『威圧』と比べる価値がないくらい『チョロッ』とした貧弱なものだ。
その時、若い3人が「その人たちはダメだ!」とリーダーらしい男に言ったが「うるせえ!腰抜けが!お前らは此処で『共闘解除』だ!とっとと目の前から消えろ!」と怒鳴られていた。
あーあ。あの子たちは私たちのこと『知ってる』みたいだから、話くらい聞いてあげてもいいだろうに・・・
ハンドくん。
戦闘が始まっても、あの子たちは『対象外』でお願いね。
『彼らはこの『ぼんくらパーティ』とは『無関係』になりましたからね』
・・・彼処にいたら巻き込まれそうだよね。
『戦闘が始まったら此方へ移動させます』
うん。お願いね。
私がハンドくんと話をしている間に、連中は『私とルーナ、スゥを殺し、シーナを犯そう』と計画をたてたらしい。
・・・手加減なし?
『ダメです』
じゃあ『鵡鳳』で・・・
『シリコンカバーは外さないように』
『金ダライ』は?
『簡単に死にますね』
「弱〜」
あ・・・私の言葉が『自分たちに向けられた』と勘違いしたみたいで睨まれた。
いや。『連中が弱い』という意味で言ったから『間違いではない』けどね。
「・・・こっのクソガキがー!!!」
その言葉を合図に、一斉に襲いかかってきた。
1人に12人。
彼らに『卑怯』なんて言葉はないのだろうか?
ハンドくんに言われて、『シリコンカバー』を外していない鵡鳳で『叩いた』だけなのに、勝者は私。
対戦時間は・・・『10秒かかりませんでしたね』・・・この人たち、一度『叩いた』だけでぶっ倒れたんだ。
「めっちゃ、弱〜」
今度は誰も『反応』してこなかった。
意識がないのだから無理だよね。




