第390話
シーナは見違えるほど変わった。
戦闘も。さくらへの態度も。
スゥも戦闘に『心の余裕』が出来て動きが良くなっていた。
そんな中、ルーナは1人焦っていた。
師範の指導で、2人のように目を見張るような改善が見られないからだ。
「ルーナ?どうした?」
「師範。・・・私はスゥのように素早く動けません。
そしてシーナみたいにチカラがありません。
どうしたら強くなれますか?」
「それは仕方がないだろう?
スゥは素早さに特化した『猫種』だ。
シーナは年齢の差で、ルーナが成長すればアッサリ追いつく差だ」
セルヴァンに『大した問題ではない』と言われたルーナだが、彼女自身にとっては『大きな問題』だった。
「ルーナ。じゃあ一緒に遊ぼっか」
「・・・ご主人さま」
「さくら。
危ないから来ないように言っただろう?」
「ハンドくんが一緒だから平気だもん」
セルヴァンは注意されてもニコニコ笑顔のさくらに苦笑しながら抱き上げる。
今日もヨルクとヒナリは『現地調査』に出掛けたはずだ。
そして、さくらは『恐竜島』で恐竜たちと遊ぶと聞いていたが。
しかし・・・
「さくら。何をするつもりだ?」
「だって『ひとりで鍛錬してる』から、自分の実力が分からないんだよ。
シーナもスゥも。
だから『最強の相手』に遊んでもらえばいいでしょ?」
「『恐竜たち』か。
ちゃんと許可を貰ったのか?」
「みんなは『一緒に遊びたい』って言ってたよ」
〖 すでに神の許可は貰いました。
まあ『ダメだ』なんて言えるはずがありません。
・・・いえ。ハリセンを前にして『言えるもんなら言ってみろ』というところでしょうか 〗
「ハンドくん。
手加減しないとダメだよ?」
〖 大丈夫ですよ。
『神は死なない』んです 〗
「あ。そっかー」
「それはダメだ」なんて言ったら『ボロ雑巾の刑』が待っていたのだろう。
いや。『ダメ』と言いかけて、ハリセンを持ったハンドくんたちの『無言の圧力』を受けたんじゃないか?
・・・以前、ジタンが20人のハンドくんたちからハリセン攻撃を受けそうになった時のように。
「ご主人さま?
何処に向かうのですか?」
「私の『お友だち』のところ。
足の速い子とかいっぱいいるから、一緒に遊ぶといいよ。
スゥ〜。シーナ。出掛けるよ〜」
さくらの呼びかけで、さくらに気付いた2人は慌てて自身に浄化魔法を掛けて駆け寄る。
「では、今日は『新しい相手』に鍛錬をして貰おう」
セルヴァンの言葉にさくらは「わーい!」と喜んだ。




