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第370話


昼食休憩に1時間使って、『水晶の間』から再び『正規ルート』へ戻って来た。

ハンドくんが『口を塞がせた理由』は、あの神秘的な光景は『無音の中』でしか見られないからだった。

水の音や風の音で、『石のお喋り』が止まってしまう。

光も一瞬で消えてしまう。

でも少し待つと再び神秘的な光景が繰り出された。

ハンドくんはその光景をライブ中継で神の館に送っていた。

そして録画されて、いつでも神秘的な光景を見られるようにした。



「ねえ、ハンドくん。階段があるよ?」


〖 すでにトラップを発動させましたから 〗


「どこかにスイッチあったの?

それとも『開け〜ゴマ!』って呪文?」


〖 壁に魔石が5つ埋まっています。

その魔石に、同時に魔力を流したら、壁が上がっていったようです 〗


「『ガガガ〜』って壁が動くところ、見てみたかったなー」


〖 その対価に『ドロドロ〜』って濃厚な瘴気が襲ってきますよ〜 〗


「えー。それはヤダー」


〖 ダンジョンによっては『毎回起動させるトラップ』があります。

ここで強い瘴気にあたって、別荘で何十日も寝込みますか?〗


「それはもっとイヤ!」


「し、師匠・・・」


さくらとハンドくんのやり取りに青褪めたスゥ。


〖 みんなも覚えておきなさい。

人は瘴気に弱い種族です。

その中でも、貴女たちのご主人は『瘴気に弱い』のです。

貴女たちが平気でも、ご主人も平気だと思わないように。

いいですね? 〗


「「「はい!」」」


〖 と言うことで。金ダライは落とさせてあげますから、安全圏内(そこから)出ないでください 〗


「えー!『と言うことで』じゃなーい。私も戦うって!」


〖 ダメです。

倒れて迷惑をかける気ですか? 〗


『大人しく『魔石の精製』をしていてください』


「まだ、『気持ち悪くない』もん」


『じゃあ。下の階に行ったら金ダライを落としてから魔石を精製して下さい。

それで『1万個以下』でしたら外に出してあげます』


1万個以上だったら?


『今日1日出しません。

大人しく魔石の精製をしていてください。

体内の瘴気を減らさないと、明日も一日中ずっと『シャボン玉生活』ですよ』


・・・。


〖 大丈夫ですよ。私も一緒にシャボン玉の中にいますから。

約束したでしょう? 〗


ハンドくんはそう言いながら、安心させるようにさくらの頭を撫でる。

左手のハンドくんも背中を撫でてくれる。


「ご主人。今日は扉が開いたばかりで瘴気が濃い可能性があります。

ですから、今日は私たちに守られていて下さい。

必ずお守り致しますから」


〖 今日はこの子たちに花を持たせてあげましょうね。

貴女たちも、初めてのダンジョンで見せた失態を繰り返すほど『バ・カ』じゃありませんよね? 〗


ハンドくんはさくらに優しく甘く。

スゥたちには冷たく厳しい声で話す。

それにスゥたちは背筋を正して「「「はい。お任せ下さい」」」と返事をした。





6階に降りると、ハンドくんは金ダライを落とす時だけシャボン玉の一部を解除したものの、それ以外は『シャボン玉の結界』で瘴気からさくらを完全に守り続けていた。


〖 魔石はいくつ精製出来ましたか? 〗


「・・・・・・むうー」


〖 18,425個。

思っていたより少ないですね。

・・・途中で中断しましたね? 〗


「えー?なんのことかなー?」


〖 おやつも食後のデザートもおあずけ・・・ 〗


「ヤッダー!『左手ちゃん』!ハンドくんがイジメるよ〜!」


〖 リーダーは心配しているんですよ。

開いたばかりで、どれだけさくらの身体に悪影響があるか分かりませんから。

少しでも身体に瘴気が残っていれば、倒れてしまう可能性があります 〗


〖 さくら。良い子ですから、身体の瘴気をゼロにして下さい。

どこに異常に濃い瘴気が残っているかも分かりませんから 〗


ハンドくんの滅多に聞くことのない、痛々しくツラそうな声。

さくらを愛しく思い、それでいて心配しているのが十分分かった。


「ハンドくん。『あたまナデナデ』しててくれる?」


〖 はい。いいですよ 〗


魔石の精製に集中すると意識が沈んでしまう。

さくらは一度意識を飛ばして倒れてしまったことがある。

それ以来、魔石の精製に集中するのが怖いのだ。


ハンドくんが撫でる感触に、さくらは安心して両手を合わせて目を閉じる。

・・・30分後。


「ハンドくん。手ェー」


〖 はい。お疲れ様でした 〗


ハンドくんの言葉にさくらは微笑むとそのままコテンと横になり眠りに入った。


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