第37話
今回、翼族と共にいた『女神に愛されし娘』をも見境なく殺そうとしたことを、神殿に届いた『神々の怒り』で知ったコーティリーン国。
神に『知らぬ存ぜぬ』『預かり知らぬ』を繰り返したそうだ。
もちろん『悪いと思っていない』のだから、謝罪はしていないらしい。
「自分たちは『神の僕』だから『何をしても許される』。だから『謝罪する必要はない』」と意味不明な持論を掲げて。
そして国内では「『女神に愛されし娘』はニセモノだ。自分たちエルフ族こそが『神々に愛されし種族』だ」と神殿に・・・神々に『訴えた』らしい。
「神は何も言わなかった。それは自分たちの主張が正しいことをお認めになったからだ!」と言い、「『ニセモノの娘』を引き渡せ!」と騒いでいる者もいるらしい。
さらに彼らは、「事態を重く見て『聖なる乙女が召喚されて瘴気が薄くなる』まで外交を控える」とエルハイゼン国に言ってきた。
・・・さくら様が『指摘』していた事だ。
ただ『乙女が浄化して当然』と考えているのは、エルフ族が乙女だけでなく『短命種族』である人族を見下しているからだ。
更にコーティリーン国からは『公式』に「『女神に愛されし娘』を巻き込んだのは『偶然』であり、さくら様から神々に執り成すように『なんとか』動いてくれ」と懇願された。
しかし乗員たちの話だと、翼族と共に空をとんでいた子供まで羨み、巻き添えにすることに「躊躇はなかった」「一緒に飛んでいた時点で『同罪』」「死んで当然」などの言葉を直接聞いている。
もちろん、ジタンはコーティリーン国からの懇願を断った。
乗員たちの『自白』を伝えて。
そして「『なんとかしろ』とは具体的にどうすれば?」と聞いたら「チカラずくで言うことを聞かせろ!」「言うことを聞くまで殴って痛めつければ良いだろ!」「どうせ乙女ではないのだから殺しても問題はない!」と怒鳴られた。
直後に『天罰』が下ったのだろうか。
幾つもの悲鳴がしばらく続いて、そのまま通信は切れた。