第329話
ハンドくんは初めから『さくら『だけ』が大事』と言い続けてきたが、『冒険旅行』が始まってからは更に『悪化』した。
歯止めが効かなくなったのだ。
そして『止めるものがいない』ため『暴走気味』なのだ。
創造神ですら止められない相手を、神々が止められるハズがない。
創造神とアリスティアラは、ハンドくんの暴走を『楽しんでいる』ようだが・・・2人の立場は『上位神』だ。『気のせい』と思いたい。
ハンドくんの『さくら以外はどうなろうと関係ない』という『根本的な考え』は、この世界に『現れて』から一度も『最重要課題』から変更せず、1ミリも軌道を変えず、1秒も止まったことがない。
もし『さくらを取り上げた』ら、ハンドくんはこの世界を『消滅』させるだろう。
それだけで済めばいいが、他の世界へ『さくら』を探しに行き、いないと分かればその世界をも『消滅』させるに違いない。
そしてさくらも。
もしハンドくんを『取り上げた』ら、さくらは『心をなくす』だろう。
・・・それほどまでに『2人の絆』は強いのだ。
ハンドくんたちは、神々ですら『どうでもいい』と思っている。
セルヴァンたちも含めて『さくらが気にするから世話をしている』だけでしかない。
唯一、『この世界にきたさくらに、最初に優しくしてくれた』という理由から、ドリトスの世話は『その時のお礼』だと思っている。
それを知っているハンドくんは、一緒にいるセルヴァンに対し『あからさま』に世話をしないでいると、さくらが気にするから『仕方なく』世話をしている。
だれもが勘違いしているが、さくらが『一番好き』なのは『安心させてくれる』ドリトスだ。
ちなみに、セルヴァンのことは『大好きなモフモフのお父さん』と思っている。
そしてヨルクとヒナリも『ついで』だから世話をしてきた。
ヨルクはさくらの『解呪』に大きく貢献したため、そのまま『一緒に生活』することを許した。
ヒナリは『ヨルクの比翼』のため、なし崩しに共に生活することを許すことになった。
『失敗』は多いが、同じ失敗は繰り返さないように頑張っている事は『評価』している。
しかし、ヨルクと一緒に『同じ轍を踏む』こともあるため、今はまだ手放しでは喜べない。
ジタンも、やっと『さくらの魔石』を換金し出したため、さくらと共に過ごすことを認めた。
創造神の話だと、ヒナリたちはさくらを待ちながら『植物研究』を続けていくらしい。
彼ら3人は『この世界の変革』に乗り出したのだが、本人たちに『その自覚』はないようだ・・・
彼らは『さくらのため』に研究を始めたのだから。
何時か、『さくらのため』がひいては『この世界のため』になっていくことに気付くだろう。・・・・・・たぶん。
気付かない可能性もあるが。
変革に関して、創造神は「『良いこと』なら大いに結構」と投げ出し・・・『丸投げする』らしい。
どうせ、この世界の神々は『面白そうなことを始めた』としか思っていない。
『神の館』に残っているハンドくんたちは、それが『さくらの負担軽減になる』と分かっているため、協力を惜しまなかった。
自分を握りしめて眠るさくら。
ヨルクたちが来るまでは、眠る時はさくらの手を握っていた。
そうすると『ひとりではない』と安心して眠れるようだ。
色々と悩んでいたココロが軽くなったようで、目を閉じるように促すとすぐに眠りだした。
『ひとりぼっちにしないで!』
あの時、さくらの『ココロの悲鳴』を聞いた。
ハンドくんは、さくらを『ひとりぼっち』にする気はない。
『さくらから離れない』ために『不老不死』になったのだ。
それは『自分だけ』のつもりだった。
しかし、一族全員が『さくらを悲しませたくない』との理由から『同じ道』を選んだ。
・・・それには創造神ですら驚いた。
そんな創造神に、副族長の『左手のハンドくん』は言った。
『さくらが愛したこの世界を守る』と。
全員が『不老不死』になれば、これ以上一族は増えない。
『種族を残す』必要がないからだ。
・・・『それでもいい』とみんなは言う。
『『さくら』の存在自体に『価値』があるのだ』と。
恐竜島に住む恐竜たちも『同じ意見』だった。
さくらが図鑑に魔力を送り込んだことで『生まれた』彼らも、『さくらと離れたくない』『さくらを悲しませたくない』との理由から『不老不死』を選んだのだ。
私たちはまだ、一族が左右ともに2,000人以上いるから問題ない。
しかし『恐竜たち』は数が少ない。
小さなヴェロたち『小型』は10体近くいるが、ティラノたち『大型』は1〜2体だ。
「不老不死になれば、これ以上増えない」と説明されたが、彼らはちゃんと理解していた。
[ 肉食恐竜が増えたら、その分『食べ物』が必要になる。そしたら『奪い合い』になる ]
[ そうなったら『さくらが泣く』 ]
[ さくらが悲しむことしたくない ]
[ 今でも『なかよし』。このままでいい ]
創造神は、彼らの願い通り『不老不死』にした。
彼らは自力で『同族を増やす』ことが出来なくなった。
ただし、さくらは今後も『図鑑から恐竜を生み出す』ことは可能だ。
[ 新しい仲間が増えるのは嬉しい ]と言っていたため、これからも彼らは増えていくのだろう。




