第319話
MAP検索でこの町の『冒険者ギルド』を見つけて向かうことにした。
シーナたちは『これからの旅で必要となる』と知って興味を持っていた。
しかし、さくらは『自由がなくなる』と思っているのだ。
それは『ゲーム』が原因だった。
・ランクがあって、ランクアップするのに『依頼』や『クエスト』を受ける必要がある。
・一定期間で『決められた回数』の依頼やクエストを受けないとランクダウンorギルドからの除名。
その他、色々な『きめごと』とかある。
・・・さくらはそんな『一方的な押し付け』がイヤなのだ。
『さくら。この世界の『冒険者ギルド』は大丈夫ですよ』
『ただ『登録するだけ』ですから』
嫌がるさくらのために、ハンドくんは『先に調べてきた』らしい。
その結果、『鉄板』に『登録日』と『名前』が登録されて終了だそうだ。
・・・それだけ?
『はい。『それだけ』でした』
『登録料』とかは?
『いりません』
『ランク』は?
『ありません』
『依頼』は?
『ありますが受けなくても良いです』
・・・なんのために『ギルド』があるの?
『一番は『冒険者の把握』ですね』
『そして倒した魔獣などの『遺骸買い取り』や『魔石の買い取り』』
『冒険者用の『キャンプ用品の販売』、『装備品や雑貨などの中古購入&販売』』
『前者は『価格の暴騰や暴落の予防』ですね』
『魔獣の遺骸はそのままでは売れません』
『しかし、ギルドにある『解体屋』が解体すると『手数料』を引かれます』
『そこは彼女たちが『解体技術』を覚えれば『解体屋』を通さなくて済みますし、村に戻っても『役に立つ』でしょう』
『アイテムボックス』を持ってない人たち多いんでしょ?
私たちは『専用のアイテムボックス』を持ってるけど。
グラハムから『ポーチ型のアイテムボックス』を贈られた時に『家が1軒買える』と言っていたし。
『ギルドからは、パーティに『冒険者用アイテムボックス』がひとつだけ無料で貸し出しされます』
『パーティを解散した時はギルドに返します』
『ふたつ目以降は有料です』
『此方は『購入してる』ので返す必要はありません』
『後者は『引退する冒険者』が不用品を売って、『中古でもいいから安く買いたい』という人が購入していますね』
『冒険者専用の『リサイクルショップ』というところでしょうか』
・・・私は、本当に何にもしなくていい?
『パーティで一緒に行動してるだけでいいのですよ』
『そして『私たち』に守られていて下さい』
『怖いのでしたら、幾重にも『結界』を張りますよ』
『『リーダー』は最後に出てきて『いいとこ取り』すれば良いのです』
えぇ〜!
それってズルくな〜い?
『いいえ。それがリーダーの『特権』です』
『それに『ズルい女』も、さくらなら『カッコイイ』ですよ』
『『ずる賢い』より『ズル可愛いさくら』の方がカワイイですね』
ハンドくんはさくらを本当に『カワイイ』と思っているので、際限なく誉めまくる。
そんなハンドくんの『説明』で、さくらは安心していった。
そう。ハンドくんは『さくらが嫌がる事』は『極力』しない。
『さくらのため』に必要なことなら、どんなに嫌がってもするが。
さくらも『それ』は分かっている。
だから『さくらが冒険者ギルドに入ること』は、きっと『今後に必要』なのだろう。
『さくらは必ず守ります』
この旅を始める前にハンドくんは、そう何度も約束をしてくれた。
さくらは知っているし信じている。
ハンドくんは『絶対に』約束を破らないことを。
「それではこれで『ギルド』の説明は以上です。あとは『此方』へ必要事項を記入して提出して下さい」
本当に『ギルド』の説明は簡単だった。
倒した魔獣や魔物は「ギルドで買い取ります」。
これは過去に『肉屋』へ魔獣の遺骸を『直接売ろうとした』冒険者がいたらしい。
それも『解体前』のものを。
冒険者は「小型だからいいかと思って」と釈明したらしい。
それ以降、ギルドに『解体屋』が併設されて、解体前の魔獣や魔物は此処に持ち込まれることになった。
そして『パーティのリーダー』にアイテムボックスが貸し出される。
これは『ギルドが管理』している。
採取や採集の依頼や、魔獣や魔物の遺骸を『50個まで』入れることが可能。
お金は『底なしの貯金箱』状態で、際限なく入れることが可能。
しかし、『パーティの誰か』が持ち逃げしたり奪われた場合、そのアイテムボックスは『利用不可』となる。
解除するには、アイテムボックスを『ギルド』へ持ち込む必要がある。
アイテムボックスには『ブラックボックス』のように『記録』が残されているそうだ。
それで『犯罪か否か』『関係者か否か』が分かるらしい。
・・・どう考えても『鑑定石かそれに近いもの』が混ぜられているんじゃないかな?
そのせいか、無理に取り出そうとした場合、中身もろとも『消滅』するらしい。
「その場合、アイテムボックスだけでなく『無理矢理開けようとした本人』も、です」とギルドの受付嬢が淡々と話して、下の2人の顔が青褪めた。
この2人が青くなったのは『落ちていたのを拾って、誤って開けちゃったら?』と言う理由からだ。
受付嬢から「簡単には開かないのでご安心下さい」と言われて同時に私を見たのは、私のアイテムボックスが『ポーチ』だからだ。
そのため『冒険者専用アイテムボックス』を出してくれたのだが、確かに缶ペンケースみたいな『ボックス』タイプだった。
日本には『象が踏んでも壊れない』といわれるペンケースもあったが、これは『物理・魔法攻撃を受けても壊すことが出来ない』らしい。
ハンドくんに『召喚生物たちに踏んでもらっても壊れないのかな?』と聞いたら『試してみますか?』『作った人たちが『泣きます』よ』と言われた。
やっぱり『t』の重量が乗ると壊れるか〜。
『『獣化』した獣人族でも、そこまで重くありませんからね』
『それより手を離してください』
『みなさん驚いていますよ』
ハンドくんに言われて手元を見る。
出されたアイテムボックスが、あまりにも『寄木細工の秘密箱』に近くて、ついつい無意識に動かしてしまっていた。
あれほど『キレイ』ではないが、『色を変えた板』がカギと共に装飾の役割をしている箱。
「あ!」という声が聞こえたのと箱から『カチリ』と音がしたのが同時だった。
・・・ごめん。『開けちゃった』わ。




