第304話
城門外の広くなってる場所で、メニューからアイテムボックスの『貴重品』を選択。
そこから愛車を選択するとポンッと音を立てて白い軽自動車が現れた。
目を丸くする3人娘に「これは魔石で動く『魔法道具』だよ」と説明。
下の2人は目を輝かせて近付きたい様子だが、彼女らと手をつないでいる『シーナ』が手を離さなかった。
それは『私がまだ『許可』を出していない』からだ。
魔法の練習をした『何も無い無人島』でバンバン走らせて、『私の魔石』一つでどれだけもつのかとか、魔石をどれだけ充填出来るのかとか、色々調べは済ませてある。
ちなみに『ガソリンメーター』は『魔石メーター』と変わっていた。
『私の魔石』をまとめて10個充填したので、メーターは『FULL』状態だ。
『ナビ』も『この世界』仕様。
ちゃんと『街道』も表示されている。
アリスティアラと創造神の説明だと『緑色の点』は『旅人』。『赤色の点』は『魔獣』なんだそうだ。
「ハンドくーん。ドア開けたって」
初めて見たんだから、開け方なんて分からないだろうからね。
見送りに来てくれたザーニとグラハムは愛車を出した時に触ろうとしたが、『マジックアイテム』の一言でパッと離れた。
彼らはマジックアイテムに危険な物が含まれているのを知っているようだ。
流石にザーニでも『金ならいくらでも出す』とは言い出さなかった。
『初めての体験』で怖々と中に入る3人。
ジャンケンで、助手席には勝ったスゥが。
後部席にはシーナとルーナの姉妹が座ることになった。
ジャンケンは『グー・チョキ・パー』で、日本とほとんど変わらなかった。
・・・ちびっ子2人組のスピードが早すぎたのだ。
3人が座席に座ると、ハンドくんがシートベルトをつけていた。
・・・試し乗りしてた無人島は何も無い広い場所だったから、喜んで「びゅーん」って走らせてたけど、さすがに『乗車初心者』を乗せて暴走はしないよー。
〖 安全のためです 〗
そう言って、何故か『運転席のシートベルト』までつけだした。
〖 『安全のためにつける』って『約束』は? 〗
・・・・・・まもる。
ハンドくんがチャットで『これは誰の胃袋に入るのでしょう?』という言葉とともに『レアチーズケーキ』の写メが送られてきた。
美味しそうな『ルシのジャム』もかかってる。
・・・・・・私の『大好きなケーキ』を使ってくるなんてぇぇぇ!!
『おや?別に断っても良いのですよ?』
ハンドくんの『おやつ』を食べないという『選択肢』は私にはない!
そう力説したら頭を撫でられた。
その後に『予約済み』の旗がついた『レアチーズケーキ《ルシのジャム》添え』の写メが届いた。
ザーニたちに別れを告げてエンジンをかけるとスマホとリンクさせたままだったから『元の世界』の曲が流れ出した。
ピアノ曲だったから、そのままにして車を走らせる。
道は舗装されていない『悪路』だが、この車は『地面から5センチ浮いている』ため振動はない。
それだけでも『車酔い』しないと思うんだけどなぁ・・・
神殿の祭壇で神官長は祈る。
旅立つ幼子たちの無事を。
そして願う。
彼女たちに幸多からんことを。




