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第301話



モゾモゾと動いたさくらが目を開けると周囲は『真っ暗』だった。

『何か』がさくらを目覚めさせたのだ。

その『何か』が音なのか気配なのか。

魔物の声だったのか。

何だったのかが分からなかった。




〖 目が覚めましたか? 〗


「あれ?ハンドくん。どこ?」


〖 そばにいますよ 〗



さくらは布団に(くる)まったまま周囲を見回すが何も見えない。

しかし、『布団の感触』が自分の『今いる場所がベッドの中』だと教えてくれている。

何も見えない『闇の中』にいる事で恐怖が湧き上がってきたが、ハンドくんが頭を優しく撫でる感触が伝わってきた。



〖 大丈夫ですよ。もう少しだけ『このまま』で居てください 〗

〖 『ナイショのしぃー』ですよ。出来ますか? 〗



ハンドくんの言葉に両手でクチを押さえてコクコクと頷く。

なぜだろう。『ナイショのしぃー』という言葉に『懐かしさ』が込み上げて来る。

・・・そして気持ちが『落ち着いた』。

本来は『内緒』をさす言葉だったと思う。

だけど、私『たち』は『かくれんぼ』の時にも使ってたっけ。


・・・・・・私『たち』?

誰だったのかな?


覚えてないから『小さい頃』かな?






ずっと撫でてくれていたハンドくんが『ぴたり』と止まった。

その瞬間にふたたび押し寄せてきた『恐怖』で身体が固まる。

ダン!ドタン!バタン!という物音が『隣の部屋』から響いてくる。



「おい!『この部屋』で『間違いない』のか!」


「そうだ!『一番奥の部屋』だ!」


「『誰もいない』じゃないか!」


「『荷物』もないぞ!」


「この部屋には『誰かが使っていた痕跡』すらないぞ!」


「『襲撃』は失敗だ・・・仕方がない!退()け!」


「分かれて『町を出る』ぞ!」


「決して捕まるな!『シューヴァイン』で生きて会おう!」



ふたたびバタバタッという音が階下へ向かっていく。

しばらくするとその音も聞こえなくなった。




〖 もう『かくれんぼ』は終わりですよ 〗

〖 よく『頑張りました』ね 〗



ハンドくんが頭を撫でてくれるが『何が起きていた』のか分からない。


・・・・・・どういうこと?

私は『此処にいる』のに。



〖 さくら。それは『あかり』をつければすぐに『分かります』よ 〗



あかり・・・光魔法というか『懐中電灯』をイメージすると、両手の中に『電球』のような大きさの光が現れた。

それと同時に周りの『闇』がザザーッと音を立てて引いていき、部屋の中に広がる『外の明るさ』で、まだ『陽が高い』ことを証明していた。

それはあの『有名なアニメ映画』のワンシーンのように。

・・・天井を見回したが、残念ながら『ぽよん』って落ちてこなかった。



「え?・・・『まっくろくろすけ』?」


〖『魔法生物』ですよ 〗

〖 元は『ケセラン・パサラン』の亜種だったようです 〗


「・・・亜種が魔法生物?」


〖 さくら 〗


「ん?なに?」


〖 『それ』は後にしましょうね 〗




『黒いケセラン・パサラ(まっくろくろすけ)ン』の存在で、さっきまで怯えていた『さくらのココロ』は明るくなっていた。







「ヒナルク様!ご無事ですか!」


何故だろう。

『私の名前』を呼びながら『私の部屋の前』を通り過ぎて行った。



「え?え?ヒナルク様?何方(どちら)にいらっしゃられますか?」



何故か慌ててる声で、私も『いまいる場所』が『私が借りてる部屋ではない』事を思い出した。



「ここはドコ?わたしは〖 さくら 〗」



ハンドくんが遊びだした『私の言葉』を塞ぐ。

部屋の外では警備隊副隊長が『私』の名前を呼んで探している。



「遊んでたらダメだね」


〖 『用事』を終わらせて、後であそびましょうね 〗


「うん」



ハンドくんが頭を撫でてくれる。

ベッドをおりて、近くの扉を開く。

私がいたのは『私の部屋の2部屋隣』だった。

私が部屋を出た音に気付いたようで「ヒナルクさま〜!!」と廊下へ飛び出してきた。







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