第265話
管理事務所を出たら目の前では『異様な光景』が展開中だった。
前の道を男も女もイヤそうな表情で『同じ方向』へゾロゾロと歩いていく。
「おい!早く行かないと奴隷の『公開私刑』が始まるぞ!」
「また『ジョルト』の奴か」
「今度の奴隷は『3匹』だとよ」
男たちの声音には『不快感』が滲み出ている。
そんな男たちの一人がさくらに気付いた。
「おい!そこの若造!」
「オレか?」
「そう。お前だ!」
「お前も早く来ねえと『ジョルト』のリンチに巻き込まれるぞ!」
「何だよ。その『ジョルト』って」
「何だお前。『旅人』か?」
「ああ。昨日の昼に着いたばかりだ」
「じゃあ『運が悪かった』な」
彼らの話を要約すると『ジョルト』とは『銀板所持者』らしい。
そしてこの大陸では『銅板所有者以下は銀板・金板所持者に従わなくてはならない』そうだ。
此処は『始まりの地』と呼ばれる僻地のため、他所の街より圧倒的に『銀板所持者』が少ない。
それをいい事にジョルトは『やりたい放題』しているようだ。
そして『公開私刑』は、広場に民衆を集めて自分の所有物である奴隷に対して暴行・殺害をするそうだ。
・・・誰がそんなモン見たいんだよ!
「『権力』を誇示したいんだよ」
迷惑極まりない。
不快な思いをしながら男たちと歩いているとハンドくんが驚くことを教えてくれた。
『ジョルトは『銀板所持者』ではありません』
・・・あれ?
じゃあ『ニセモノ』ってこと?
『はい。『銅板』を銀で纏わせているだけです』
その銀って『剥がせる』?
『その必要はありません』
『身分証を『叩き割ればいい』だけですから』
二つに『チョンパ』出来る?
切断面を見せた方が『証明』出来るよね?
『銃で一発です』
誰であっても『目の前』で殺されるのって見たくないよ。




