第262話
途中でザーニの店の前を通ったが、今日は『定休日』だった。
昨日の今日だから、臨時休業になっててもおかしくはなかったが。
昨日右に曲がった辻を今日は真っ直ぐ進む。
すると、誰でも買える洋服屋があったから入ってみた。
ここでは身分証の提示はなかった。
今日の私の衣装は綿パンと麻のポロシャツ。
それに薄いポーチと白のコーディガン。
見た目丸腰。
でもポーチには大量の武器。
コーディガンは『最強の防具』。
・・・何より『ハンドくん』という『最凶のボディーガード』付き。
『一体誰が『最凶』って教えたのですか?』
ヨルク!
『さくらに何と言ったのですか?』
『ハリセンを持ったハンドくんのことを『最凶最悪』って言うんだ』って♪
紙に書いて教えてくれたもん!
先程のさくらの言葉を訳すと『ハンドくんというハリセンを持ったボディーガード付き』と言ったつもりのようだ。
『『最凶』ではなく『最強』ですよ』
『ヨルクはまだ『漢字』が不得意なので間違えたのでしょうね』
『強』より『凶』の方がカンタンだもんね。
『そうですね』
店員の目が届かないのをいい事に、ハンドくんがさくらの頭を撫でていたちょうどその頃・・・
「イッテー!何すんだよ!やめろって!」
神の館に残っているハンドくんたちからハリセンを受けていた。
「さくらに何か『おかしな言葉』を教えたんだろ」
「それが今になってハンドくんにバレたんじゃな」
「一体、何を教えたのですか?」
「・・・バカね」
「・・・・・・」
『心当たり』が多すぎて何も言えないヨルクであった
店の服は安価が多い中、たまに『防汚』が付加されている『ちょっとお高め』の服もある。
これって昨日買った武器&防具にも付いてたな。
今朝の武器の説明で「『防汚』は魔物の血や肉などの汚れが付着するのを防ぐ」効果らしい。
装備だと泥や汗ジミなど日常生活の汚れも防ぐそうだ。
『帽子を忘れずに買って下さい』
ハンドくんから指摘されたけど、それって『雑貨屋』で売ってたら買うんだよね?
『ここがその『雑貨屋』です』
・・・アレ?
日本のイメージとは違ったわ。
とりあえずハンドくんの言う通り、店舗奥の右側へ向かうと、ありました。帽子コーナー。
色々見てたら『鑑定』で引っかかるものが。
『陽射し避け』が付加された『赤いリボンが付いた麦わら帽子』。
・・・某冒険マンガですか?アニメですか?
そう思ってたら『それの下です』ってハンドくんに言われた。
5656さんの帽子もどきを取ったら、下に黒色の柔らかいつば広の麦わら『風』帽子があった。
『型くずれなし』の帽子だ。
これに似た帽子を百均で『まとめ買い』したからマンションの自室とアイテムボックスに入れてある軽自動車の中にもあるよ。
そう思ったら「これって私の帽子じゃん」。
つばのウラに日本語のタグが付いてるよ・・・
とりあえず『私の帽子』と、冗談で麦わら帽子を持ってレジへ。
店員さん、麦わら帽子の代金しか請求してこなかったよ。
でも手渡されたのは帽子2つ。
・・・2個セットだったのかなー?
今は曇天だから、店を出てからポーチにしまっておいた。




