第261話
貰ったポーチが小型だったから、ウエストに付けても目立たなかった。
そのため今日はコーディガンを着用。
昨日のポンチョを着用した時にも感じたけど、上着を着用すると『清浄化』魔法が発動するから、瘴気による『苦しさ』がまったくない。
まるで清浄化されている『神の館』か『マンション』にいる時のようだ。
・・・『神のチカラ』は感じないから、セルヴァンとヨルクの2人が神に魔法を教わったのかな?
『当たりです』
『『神のチカラ』を使えば、神職者に会った時に『色々』と問題になりますから』
『『誰かがかけた魔法』でしたら問題になりません』
『どんなに調査されても『店で販売されていた』ことになりますから』
・・・だから『店』に置いてあったのね。
『店の関係者全員が『証人』です』
私の知らない所で、色々と気を配ってもらってたのね。
ありがとう。
『返事がなくても『ただのしかばね』ではありませんよ』
・・・・・・あ。根に持ってる。
『今日の『おやつ』は抜きですね』
ゴメンナサイ!
だから『おやつ抜き』はヤメテ!
必死に謝ってたら、ハンドくんが頭を撫でて許してくれた。
そりゃあ露店巡りするんだから『買い食い』すればいいかもしれないよ?
でも『ハンドくんの手作りおやつ』と天秤にはかけられない。
それに此処の露店には『おやつ』は売ってないもん。
『売ってたら買いますか?』
買うよ?
だって『食べてみたい』もん。
でも『ハンドくんのおやつ』とは比べられないよ?
露店で売ってるのと、『私のため』に作ってくれるのを比べる方がおかしいよ。
喜んでいるのかな?
私の頭を撫でている手が、さらに優しくなった気がした。
宿を出て、最初に露店へ向かう。
でも昨日の果物屋はいなくて別の店が開いていた。
「すみません。昨日ここにいた果物屋は?」
隣で昨日も店を開いてた人に聞いたら、なんでも夕方に慌てて店を畳んだらしい。
「急に町を離れることになった」そうだ。
「なんで急に?」と言ったら、どうやら私が『原因』のようだ。
「いやねぇー。『銀板』の肩布を奪おうとした連中が警備隊に一網打尽になったらしいんだよ。その話がこっちまで流れてきてねぇ。そしたら店主、真っ青になってさぁ」
・・・つまりあの果物は『在庫処理』の意味合いも兼ねていたのか?
果物は傷むから、旅には持っていけないもんね。
「詳しいことは『管理』に聞いとくれ」とのこと。
露店の出店管理はそこでやってるらしい。
お礼を言って、教えてもらった『管理事務所』へ向かうことにした。




