第256話
夕飯を食べ終えて部屋へ戻る前に「今日は疲れたから誰も通さないで」と頼んでおいた。
そりゃあ『今日の昼前』に到着して買い物に出かけていたんだから。
「疲れた」と言ったら分かってもらえた。
部屋には『魔石の結界』が張ってある。
魔石の結界だと張る時に『光らない』んだ。
ハンドくんの結界だと白く光っちゃうもんね。
今日張ってるのは「遠慮してね」って、やんわり『お断り』の軽い結界。
露天商が来た時は、ハンドくんが結界を解除してくれていた。
ちなみにこの世界の宿屋は『カギはチェックアウト時に返す』方式。
宿屋の従業員が『泥棒』をするのも、逆に疑われるのも防ぐためらしい。
そのためベッドメイキングも『部屋に届いた荷物』のチェックもしない。
・・・だから、部屋の外に置かれたハズの荷物を、ハンドくんたちが既に片付けていることに気付いていない。
今日の泊まり客が私たちだけだからだろうか?
「たーだいまぁ〜〜」
部屋に入り、そのままベッドにダイブする。
すぐにハンドくんたちに靴や上着を脱がされる。
その後に清浄魔法をかけてスッキリさせてくれた。
お風呂に入りたくなれば『無人島の別荘』を使うが、今の私は『旅人』。
ヘタに石鹸の匂いをさせていると怪しまれてしまう。
『温泉』のある街なら問題ないだろうが・・・
この町は『共同浴場』が2つある程度。
ひとつは『金・銀板専用』でセキュリティが万全。
それに比べてもうひとつは・・・
うん、まあ。大なり小なりの『犯罪』が横行してる。と言っていいのか。
『行くなら『安全な温泉』か別荘にして下さい』とハンドくんから止められている。
強引に『強行』なんかしようものなら、『浴場の客を全員ハダカで追い出して強固な結界を張りますから』との強迫『お・願・い・です』・・・・・・をされている。




