第255話
宿屋(兼酒場)の料理は美味しかった。
さすが門番が自信満々に紹介するだけのことはある。
ちなみに今日はドミグラスソースの『煮込みハンバーグ』だった。
サラダやバゲットも付いていて、メイン以外は『おかわり自由』だった。
ハンドくんの説明だと、スープは野菜タップリのスープだったが、何故かシークヮーサーが隠し味に入っているそうだ。
野菜の『臭い消し』で生姜を少量入れるようなものだろうか?
ハンドくんたちは『空いた時間を有効活用』と称して、キッチンを見学していたらしい。
料理の『実験台』なら、ヒマな神々にどうぞ。
・・・時々『激辛メニュー』を食べさせて反応を楽しんでいるのは大目に見ましょ。
ハンドくんの料理に『失敗』の二文字がないのは十分分かってる。
でもね。
ハンドくんの辞書には『失敗』の二文字はないけれど、『挑戦』の二文字はあるんだよね・・・
食事は宿代に入ってるけど、アルコールは別料金。
料理にあわせて赤ワインを注文したら酒場の兄ちゃんたちが奢ってくれた。
・・・兄ちゃんたちって、私が宿屋に来た時から飲んでるよね。
酒場は24時間営業だから、宿屋に泊まらずに酒場に居続ける旅人もいるらしい。
それなのに上階の居室が静かなのは、上階の壁や扉には『消音魔法』が使われているからだ。
私の部屋には結界も張ってるから町中の賑わいも馬車の行き交う音も入ってこなくて静かだけどね。
・・・なんかあればハンドくんが教えてくれるって安心感もある。




