第249話
ザーニのお店に戻ったらもう『取り調べ』が個別にされていて、私の姿を見たザーニが慌てて寄ってきた。
私が警備隊を連れてきたと思ったようだ。
「親から譲られた肩布を奪おうとした」と訴えられたと思ったのか?
とりあえずザーニが口を開くのを手を上げて止めた。
ザーニの誤解を解くにはこちらが『何しに店へ来た』のかを知ってもらった方が手っ取り早い。
「なあ。誰が『オレを訴えた』んだ?」
後ろに控えている警備隊員にそう聞いたら、ザーニが目を丸くした。
だから、武器屋で買い物をしていたら「装備屋から『上着を試着してた客が支払いもせずに出ていった』と訴えがあった」と言われたことを話した。
「いえいえいえいえ!私の財布を拾って頂いたお礼として上着を差し上げただけです!」
ザーニの証言を聞いた警備隊の一人が「はい。そちらの方が財布を拾われて、店主殿にお渡しになられておりました」と認めてくれた。
私は気付かなかったけど『あの時、そばにいた警備隊の一人です』とハンドくんが教えてくれた。
・・・同じ制服着てるのに、よく覚えていたね。
さすが『わたしのハンドくん』だわ。
そう喜んでいたら、メニュー画面に『右側の青髪がウソツキ』とハンドくんからのメッセージ着信。
右側を見ると、窓際で青髪の従業員が警備隊の1人に事情を聞かれている。
そばの窓からはスリの子供たちが店内を覗いていた。
現状から『野次馬根性の子供』と見られているのだろう。
大人は遠巻きに見てるが誰も子供たちに注意をしていない。
・・・あれ?
この子たちの視線って『青髪の従業員』に向いてるよ?
「おい。ザーニ。青髪の女がこの騒動の『犯人』だ」
『鑑定』には『罪名:虚偽』と『罪名:窃盗』になっている。
私の言葉にザーニは素早かった。
従業員が『銀板の客』に濡れ衣を着せたのだ。
店名に泥を塗られた上、もし私が『正式な抗議』をしたら、店は潰れてザーニは『監督不行届』とかで数年間の『期間奴隷』落ちだ。
それを回避するためなら何でもするつもりのようだ。




