第242話
「お?どこ行くんだ?」
「花街ならまだやってないぜ」
階段を下りていくと、すでに出来上がっているオッチャンたちに絡まれた。
「イヤイヤ。『新しい場所』へ来たら、まずは商品の品揃えや相場を知るのに露店巡りだろ?」
「ハッハー。そりゃそうだ」
「っつーワケで。どこに行けばイイかな?」
「だったら、前の道を二本先へ行って左な」
「ありがとな」
教えられた通り、宿を出て二本先の道を左に曲がると、道の両脇に様々な露店が並んでいた。
左側にある果物屋が目に入ると、メニュー画面に『赤い果物が欲しいです』と表示された。
見た目はライチだが?
「おう!この『リヒ』買ってくか?ひと籠で銅貨5枚な」
このオッサン、ぼったくりか。
鑑定だとこの小籠で銅貨1.5枚とある。
「オイオイ。こいつは銅貨2枚でも高い代物だろ」
「人をバカにすんなよな。別に『他所』で買うだけさ」
「いっその事『彼ら』に話そっか?『銀板相手に商品じゃなくケンカを売りましたー』ってな」
チラッとこちらへ来る巡回中らしき二人組の警備隊に目をやる。
それに気付いて慌てる露天商。
そりゃそうだろう。
『銀板』相手に倍以上の額をふっかけたのがバレたら奴隷落ち確定だ。
軽くて『家族』。下手すりゃ『一族』。
最悪『この露店街で果物を売ってる商人全員』や『露店街関係者全員』に『果物の仕入先』が連帯責任の対象だ。
「犯罪行為を知ってただろ!」と激しく問い詰められて、誰か1人が肯定でもしたら一網打尽。
そういう時こそ『鑑定石』を使え!って思うけど、『銀板』相手に無礼を働いたら『正当』に扱ってもらえない。
『無礼を働いた』こと自体がすでに『罪』なのだ。




