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第224話



ヨルクとヒナリは『さくらの礼儀正しい挨拶』を初めてみて内心驚いていた。

さくらは自分を『ただの一般人』と言っていた。

それは『普段のさくら』を見ていても分かった。

そんな彼女が『礼儀正しい立ち居振る舞い』が出来るとは思っていなかったのだ。

以前、ドリトスとセルヴァンが『さくらの礼儀作法』を誉めていたことがある。

それはただの『欲目』だと思っていたが、目の当たりにして考えを改めることとなった。


ジタンは初めて会った時のようにさくらへ笑顔を向けていた。

そして精霊王は破顔し、頭を下げているさくらに近寄り膝をついて抱きしめた。


「頭を上げなさい。我が愛し子。私はそなたが望むなら何時(いつ)でも、たとえ『地の果て』でも、そばに馳せ参じますよ」


その言葉にさくらは驚いたが、それ以上に同席していた他の精霊たちの方が遥かに驚いていた。

精霊王は今まで『誰か』に心を向けたことはない。

たとえ『同族』でもだ。

それが目の前に立つ小さな『異世界から来た少女』に対して膝を折り、目の高さに合わせただけでなく抱き締めたのだ。


「緑の王・・・」


背後に控える精霊の一人から声をかけられると、さくらを抱き上げて精霊たちを見る。


「我ら『精霊』は『我が愛し子』を『精霊(われら)の友』として此処に認める」


精霊王の言葉に精霊たちは無言で頭を下げて同意する。

それは『精霊王の言葉』だからではない。

自分たちの危うい存在を救ったのがさくらだと分かっていたからだ。

その瞬間から、自分たちもさくらを『友』と認めていたのだ。




彼らの『心の内』をセルヴァンやドリトスは手に取るように分かった。

自分たちのように彼らも『さくらの存在』が救いになっていたのだ。

そんな彼らがさくらを認めないはずはなかった。


精霊たちと笑顔で接するさくらの様子を、セルヴァンたちは微笑ましく見ていた。



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