第22話
では始まりました。
『洗いざらい喋ってもらいまSHOW!』
本日のゲストは『アグラマニュイ国から来た密偵の皆さん』でーす!
パチパチパチ~。
「楽しそうじゃな」
「うん!」
密偵集団の前にハンドくんたちが一人掛けのソファを持ってきてくれたから、それに座って遊んでいる。
拍手はハンドくんたちも一緒にしてくれた。
「ドリトスたちは『お話し合い』終わった?」
「大方はな」
「あとはジタンが『交渉』するだけだ」
セルヴァンは私を抱き上げて自分がソファに座った。
私はいつもの通り膝の上。
ただしセルヴァンが足を組んで、私はその上に器用に座ってる。
落ちないように、セルヴァンの左腕という『安全ベルト』付き。
お腹に回された腕は、苦しくないように配慮されている。
「まだ遊んでていいの?」
「構わんぞ」
ドリトスがそういうと、ハンドくんたちが一人掛けソファを持ってきてくれた。
ドリトスは「おお。ありがとな」とお礼を言って腰掛ける。
ジタンはテーブルのそばに座って何か書き物をしてる。
多分、密偵の齎す情報を記録するつもりだろう。
わーい!
では『第一問』!
「今日の『遠足』の目的は?」
はい。左の人から順番にどうぞ。
チッチッチッ。
ブブー。
時間内に回答がなかったので『不正解』でーす!
不正解者には『罰ゲーム』がありまーす!
ハンドくんが不正解者の後ろに移動して、ハリセンをバチコーンと後頭部にぶちかます。
「ギャ・・・」
叫び声は別のハンドくんが口を塞いだために響かなかった。
それが逆に他の密偵たちに恐怖を与える結果となった。
それでは次の人、回答をどうぞ!
「エルハイゼン国は『乙女』が召喚されたのを隠してるって!」
「それを確かめるために此処へ・・・!」
「お、おまえら・・・」
部下たちの『自白』に隊長は大慌て。
でも部下にしてみれば『首だけ』の帰還より、たとえ『裏切り者』となっても二度と故郷に帰れなくなっても『生きていたい』わけで・・・
「もし『乙女』が召喚されていたら攫うか、それが出来なければ殺せと」
・・・チョイチョイ。
セルヴァンさんや。
殺意がダダ漏れなんですが。
お隣のドリトスさん。
貴方からも『どす黒い気』が漏れておりますよー。
・・・・・・何より、ここまで無言を貫いている神様たちの『怒気』が尋常ではないんですが。
「一応『確認』してあげる。それを命じたのはダレ?」
「『国王からの勅命』だと宰相が」
「しかし国王は優しい方で、そのような命令を下すとは思えません!」
「王妃も王子も心優しい方々です!」
「我ら下々にもお優しい方々なんです!」
この必死さからいくと、国王は『いい人』で宰相が国王の名を騙った『悪者』なんだろうな。
国王と宰相が手を組んで『仲良く天罰を受けている』この国とは違うんだなー。
では『第二問』!
「『乙女』がいなかったらどうしろと?」
そう言ったら「え?」って言葉を詰まらせた。
だって『いたら』って話は聞いたよ?
でも『いなかったら』って話は聞いてない。
「『いませんでした』っていう証拠はないよね?出来ないよね?だったら『証拠がない』ことをどうやって『証明』するの?」
『子供のお使い』じゃないんだよ?
『任務遂行するまで帰ってくるな』って言われなかった?
さあ!今度は右側から答えてみよう!
根性と覚悟の足りない『密偵ご一行様』は、生命と使命を天秤に掛けるような『無駄なこと』をせず、使命を丸ごと私たちに差し出した。
ついでに、国内の情報も上乗せで気前よく教えてくれました。
この国の庇護を受けることを条件に。
だからといって『肩書き』がなぜ『さくらの僕』になっているんだ?
『貴女に忠誠を誓ったからでしょ』
あ、帰ってきた。
おかえりー。
『いたわよ。ずっと』
『仕方がないでしょ』
『神は『人間同士のいざこざ』には口出し出来ないのよ』
やっぱりね。
『気付いていたの?』
うん。これが『私だけ』なら注意とかしてくれるけど、他の人がいたからね。
結局『国家間の問題』に発展しそうだし。
『神』が片っぽの国にだけに肩入れしたらダメでしょ?
『でも・・・』
『向けられた『悪意』で・・・』
うん。多分ね。
でもしばらくは、ここから離れられないから。
だから部屋の中・・・寝室を『清浄化』してもらえますか?
『『部屋』には戻らないの?』
戻っても・・・こちらへはすぐに来れないでしょ?
それにこれは戻っても回復出来そうにないから。
だったら時間がかかっても、こちらにいた方がいいと思う。
心配かけるけど、『見える』方がいいから。
『分かったわ』
あ。そういえば『白手袋のハンドくん』知らない?
部屋を出てから一度も来てないの。
休憩の時も温室に来なかったし。
『ハリセン攻撃』にもいなかったし。
密偵討伐にも参加してなかったし。
『彼らなら寝室を掃除したりしてるわ』
『なぜか分からなかったけど、ちゃんと察してたのね』
さすが『私のお世話係』です。




