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第214話



「いま、この中にいるのは此処にいる私たちだけです」


ジタンの言葉に驚いたさくらはしゃがんで階段の下を覗く。

その表情は『好奇心』より『不安』の方が大きいようだ。

ハンドくんとコッソリ抜け出すさくらだったが、それはハンドくんたちだけでなく『親衛隊』たちからも『守られている』ことが分かっているからだ。


その様子に気付いたドリトスがさくらを抱き上げる。


「今日の『探検』は此処までにして止めとくかね?」


ドリトスに聞かれて少し考えていたが「みんな一緒だから行く」とドリトスの首に腕を回す。

それでも怖いのだろう。

さくらの身体が小さく震えていた。

ドリトスはそれに気付かないフリをして、ゆっくり階段をおりていく。

階段下のホールに何時(いつ)もいた『さくらの親衛隊』や、彼らの使っている休憩用のテーブルやイスもなくなっていた。

ドリトスの腕の中で周囲を見回す。

鑑定魔法にも反応がない。

部屋の中で『息を(ひそ)めている』気配もない。


本当に『誰もいない』のだ。


そのことに気付き、急にさくらは『恐怖』に襲われて身体をぶるりと震わす。

するとポンッとハンドくんが現れてさくらの頭を撫でる。

たったそれだけで、さくらは落ち着いたのか固まっていた表情がすぐに笑顔になる。

さくらが十分落ち着いてから、ハンドくんがホワイトボードをさくらに見せた。


『外では雪が降っています。少し寒く感じましたか?』


「ゆき〜!」


同じくホワイトボードを読んでいたドリトスが、目を輝かせているさくらを抱きかかえたまま窓に近寄る。

元の世界と同じく、真っ白な雪が灰色の空から降り注いでいる。

そして周囲はうっすらと『雪景色』だ。

雪があまり降らない地域から来たさくらは、雪景色に興奮している。


「わあ〜!」


『雪に瘴気は一切混じっていませんよ』


「じゃあ『触って』も大丈夫なの?」


『大丈夫です』


「あとで(あった)かいカッコして外に行こうな」


「うん!」


ヨルクがさくらの頭を撫でると頬を紅潮させたさくらが何度も頷く。

さくらはハンドくんに水色のポンチョを()けられて暖かくなっているようだ。

ヨルクは頭を撫でながら、さり気なくさくらの額に触れる。

熱くはない。

しかしそれは『表面』だけかもしれない。



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