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第213話



「さあ。そろそろ『行ける』かね?」


ドリトスの言葉が聞こえたのか、座卓に伏せていたヨルクは何事もなかったかのように立ち上がってセルヴァンの後ろへと近付いて来た。

どうやらドリトスの言葉はヨルクに向けて言われた言葉だったようだ。


さくらは楽しそうに足早で部屋から出る。

部屋を出る前に中へ向かって「行ってきまーす」と声をかけるのを忘れずに。



「ヨルク。大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃねぇよ。・・・けどな。さくらが『あの時』を思い出すかも知れないことを言ったのはオレだからな。『さくらを守る』立場のオレが『さくらをキズつける』ことは、何があっても許されないんだよ」


当時はまだいなかったヨルクだが、セルヴァンたちから話は聞いて知っていた。

それなのに口を滑らせたのはヨルク自身だ。

だから『治癒魔法』を使って回復しないのだ。

この痛みは『バツ』なのだから。

何より、さくらが思い出して(つら)い思いをしなかったことの方が大切だ。



ヨルクたちの会話を、前を歩くセルヴァンとドリトスは耳にしていた。


「ヨルクは『変わった』ようじゃな」


「ええ。『良い方』へ」


小声で会話する2人の前を行くさくらとヒナリが、階段前で振り返って待っている。


「ねぇ!『結界』が張ってないよー?」


さくらが驚きの声を上げる。

結界が張られている時は、階段から下は『白いモヤの膜』で何も見えないのだ。

いま階段の下は普通に見えている。

『白いモヤ』で見えなくなっているのが当たり前になっていたさくらにとって、階段の下が見える方が不思議で仕方がない。


ちなみにさくらに『結界』は効かない。

何か『見えない薄い膜』を通り抜けた感覚があるだけだ。

そして『鍵をかけた扉』も役に立たない。

さくらがドアノブを握っただけで、勝手に鍵が開いてしまうのだ。

もし開かなくても、ハンドくんが『中から』開けるだけだが。




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