第210話
「さくら様。久しぶりに『ここの探検』をされませんか?」
『聖なる乙女のお披露目』から4日後。
パーティーの翌日から出していた熱は前日には下がっていた。
それでも『過保護』な保護者たちから『数日は大人しくするように』と部屋から一歩も出してもらえないでいた。
そんな時にジタンの来訪を受けたのだ。
畳の上に『木のパズル』を広げて図柄を作って遊んでいたさくらは「探検?みんなも一緒?」と首を傾げる。
以前は『闖入者』のせいで『探検』の中断を余儀なくされたのだ。
「なんだー?さくら。まだ『この中のこと』を知らないんか?」
ヨルクに笑われて「だってぇー。温室とか行ったことはあるけど他の場所は『人がいっぱい』だもん」と不貞腐れる。
そんなさくらの頭を撫でて「みんなで行くか?」とセルヴァンが聞くと「行く!」と笑顔になった。
『ちゃんとお片付けしてからですよ』
ハンドくんにケースを出されて木のパズルを入れていく。
「あれ?『ピース』が足りない」
ケースの絵柄にあわせてピースを入れていたが、ケースの中には空白が出来ていた。
さくらが周りを見回すが見つからない。
ケースを持ち上げて下を探すが、そんなところにあるはずがない。
だいたい、ハンドくんがケースをピースの上に置くはずがない。
するとハンドくんがピースを見つけて持ってきてくれた。
何かの拍子に掘りごたつに掛けてある布団の中へ入ってしまったようだ。
「ちゃんと片付けしなかったら『無くした』ことに気付かなかったな」
ヨルクに笑われたけど『事実』だから仕方がない。
ぷくっと頬を膨らませたさくらの代わりに、ハンドくんがケースを『さくらの部屋』へ持っていく。




