第209話
『聖なる乙女』が召喚されてからエルハイゼン国は確かに瘴気が薄まった。
そして正気に戻った国王と宰相はさくらに対する自分たちの言動を恥じていた。
聖なる乙女たちの『お披露目』が決まってすぐ、鉄格子越しでジタンと面会した2人。
自身たちが治療院へ運ばれてから起きた『天罰騒動』や『暗殺未遂事件』、『エルフ族襲撃事件』などさくらの周りで起きたことを聞かされた。
そこでようやく自身たちが『瘴気にあてられて正気ではなかった』ことを認めた。
女神からの神託に国王として正しく応対し、さくらに礼を尽くして招いていれば『暗殺未遂事件』は避けられたのだ。
ジタンは父王たちにも『呪い』のことは伏せた。
アグラマニュイ国との関係を崩すこともなく『円満解決』出来たのだ。
それは『さくら自身』の望みだった。
『当事者以外に罰を与えないで』
だからこそ国王たちに罪は問われなかったのだ。
『終わったこと』を蒸し返す気はなかった。
ジタンは以前から計画していたことがある。
それは自身が『国王』になったら真っ先に実行しようと考えていた。
王城敷地内はとても広い。
純和風の『聖なる乙女の館』は敷地南部にある。
王城の隣にある『迎賓館』は二階建てで『横長』になっている。
王城が三階建てのため、王城内を探検していた時に屋上庭園から見たさくらの感想は「小学校の校舎みたい!」だった。
今、その隣に新たな迎賓館を建設計画中だ。
まだ『国王代理』のため勝手に着手出来ないのだ。
その『計画』を父王に伝えると賛成してくれた上、一筆認めてくれた。
そして最後に「さくら様に『申し訳なかった』と代わりに詫びてほしい」と頭を下げたのだった。
『計画』は『聖なる乙女のお披露目』が終わった翌日・・・『ボルゴたちの制裁』後に着手された。




