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第200話



そんな彼らだったが『同種』である仲間たちからも忌避され、誰一人として擁護する者はいなかった。

それも仕方がないだろう。

彼らは『養護院』と呼ばれる施設を襲ったのだ。


そこは魔獣や魔物に襲われて『家族を亡くした孤児』や『働き手を亡くした女性たちが職を身につける』ために身を寄せている施設だ。

獣人族は『自分より弱き者』を庇護する性分だ。

それは『熊種』であっても変わらない。

ボルゴはそこを襲い、『弱き者』を惨殺して施設を全壊させたのだ。


流石に擁護の声はあがらなかった。


残念ながら『生存者』が一人もいなかったため、『施設の崩壊』が原因と国内外に公表された。

そして『『ボルゴの反乱』と時を同じく起きた事故』とされていた。



その施設に王妃がいたのは偶然だった。

王妃はこことは別の施設の『出身者』だ。

そのため不定期で非公表だったが『自分と同じ立場の子供たち』を励ますために各地にある施設を回っていたのだ。

そして寡婦のために『働ける場所』を自ら探して来ては施設に紹介していた。


・・・そして『惨劇』に巻き込まれた。



ただ『誰も事実を知らない』訳ではない。

国民は母を亡くしたばかりのセルヴァンの子供たちに『真実を教えて傷つけたくなかった』のだ。

そのため、末のアムネリアが成人している今は誰もが『真実』を知っているだろう。



セルヴァンを国王と認め心頭している虎種に睨まれては『獣人族最強』とうたう熊種といえどもセルヴァンにケンカを売るバカはいなかった。


そして『ボルゴたちの家族』は誰一人として『反乱』以降行方が分からなくなった。

身内ボルゴたちの行為を恥じて一族で自殺して罪を償った」とも「他国へ逃げた」とも言われている。


実際は『全員で死を選ぼうとしたのを事前に察したセルヴァンに止められ、鱗族の庇護下にある大海の小さな島で生きている』のだ。

『王妃を含めてたくさんの人々を殺した身内の代わりに死んで詫びる』という彼らに『死んで逃げる気か!』とセルヴァンは怒った。

その収拾に鱗族が『他族が行くことも出来ない島に『隔離』する』ことを提案してきた。

そこは『魔族の住まう島』に近く、瘴気はそれなりに強く、そこに住む魔獣や魔物はかなり強い。

そのため鱗族もあまり近付かない島らしい。

しかし獣人族は瘴気に強い種族だ。

そして『熊種』は獣人族の中では強い種族だ。

荒れ放題の無人島を開拓すれば瘴気も薄まり、その島特有の果実も取れる。

その果実は鱗族の好物だそうだ。

その果実や魔獣の皮や牙で『鱗族と取引』することが可能になる。


どこかへ行くことも死ぬことも出来ない『ボルゴたちの家族』は鱗族の申し入れを受け入れた。

それから2年後にセルヴァンに『慰謝料』が届けられた。

彼らは『自給自足』をしているため、鱗族と取引で得たお金を貯めたらしい。

しかしセルヴァンからは「罪なき者から『慰謝料』を受け取るいわれはない」と突き返された。

セルヴァンは『国を追われ鱗族の島へ移った時点で彼らの『罪』は償われた』と認めているのだ。

何より『『慰謝料』は当事者本人が支払うべき』との考えだ。


ボルゴたちの家族の依頼で、いまは鱗族が『養護院』へ寄付という形で届けている。

セルヴァンも『慰謝料』ではないため『それで気が済むなら』と黙認した。




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