第198話
セルヴァンたちはハンドくんの『制裁』に口を出す気はない。
彼らは事前に『先日の一件』を聞かされた上でハンドくんに『一任』したのだ。
ジタンでさえ「神がハンドくんに制裁をお許しになられたのです。自分は国王代理として最後まで見届けるために同行するだけです」と言い切った。
正直、ここまでハンドくんが怒っているとは思わなかった。
しかし自分たちでさえ『この手で絞め殺したい』ほど腹を立てているのだ。
さくらを誰よりも大切にしているハンドくんたちなら『自分たち以上』に腹を立てていてもおかしくはない。
何より『騒動の現場』に居たのだ。
さくらがいたからとはいえ・・・よく『その場』で『制裁しなかった』と逆に誉めてあげたい。
いや。その『報奨』として神から『制裁の許可』を貰ったのかもしれない。
『制裁の場にヒナリは連れて行かない』と聞いたときはヒナリをどう説得しようかと思った。
しかしヒナリはあっさりと『さくらのそばに残る』ことを選んだ。
それは神々が『何かした』のだろう。
ヒナリが『残る』と決めた直後に女神たちが現れたことからも明らかだ。
しかし『その判断』は正しかった。
・・・このような残酷な場をヒナリには見せられない。
ハンドくんの話では、今いるこの島は『さくらが魔法を試すための島』らしい。
ハンドくんたちもここで魔法を練習しているそうだ。
確かに『何もない』ため色々と試すのに最適な場所だ。
そして『さくらが初めてこの世界に降り立った』島でもあるらしい。
神々が以前話していたように、この島の瘴気はエルハイゼンより薄い。
さくらの身体を瘴気に慣らすには確かに良い場所だ。
そして『あの』さくらだ。
遊び半分で色々と魔法を試していたのだろう。
それこそ『新しいオモチャ』を見つけた幼子のように。
それを考えるとハンドくんがあれほど強いのも納得出来る。




