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第196話



「何だ!此処は!」


熊男がわめくのも仕方がないだろう。

今までエルハイゼン国の牢にはいっていたのが、気が付いたら広大な『荒野』のド真ん中に放り出されていたのだ。

周囲はぐるりと山に囲まれている。


「おい!セルヴァン!これはキサマの仕業か!」


ギャーギャーと騒ぐ熊男だったが〖 いい加減黙りやがれ! 〗といかりを含んだ低い声が響くと驚きで静かになった。

この場にはセルヴァンとドリトス、ヨルクとジタン。

そして熊男を代表とした8人の投獄組。

投獄組の足首には3mほどの鎖で別の相手の足に繋がっており、現状は『円』の形で立っていた。

もちろん踏み壊そうとしたり千切ろうとしたがビクともしなかった。


ちなみにこの場にヒナリはいない。

ヒナリは女神たちと一緒にさくらの看病をするために残ったのだ。

セルヴァンたちが部屋を出る話をしている時に「どこか行くの?」と聞いてきたが、朝の『熊男』が関係していると知ると嫌悪感をあらわにし「私はさくらと一緒にいるわ」と留守番を引き受けた。

そして水と風、花の女神たちが「私たちも御一緒しますわ」と現れて、眠るさくらとヒナリを守ってくれている。



そして忘れてはいけないハンドくんたち。

彼らは地上から1.5mの高さで浮かんでいる。

先程の声はハンドくんの『風魔法』だった。

ハンドくんの『思念』が、空気を振動させて『声』として届いているのだ。




「何だ・・・?コイツらは」


先程の勢いが熊男にはない。


「ボルゴ。彼らは『さくら殿の魔法生物』だ」


「おい!セルヴァン!その『さくら殿』とやらはどうした!」


セルヴァンの説明に熊男ことボルゴが声を荒らげる。

それに同調するように手下たちも嘲笑あざわらう。


「早く『さくら殿』とやらをつれて来い!」


「我らの『ペット』として可愛がってやろう・・・『色々と』な」


「自分の『下』に組み敷いて気持ちよくかせて・・・ギャア!!」



口々に出てくる『さくらを侮辱する発言』をハンドくんが黙っているハズはない。

一瞬でボルゴたちは何かに押しつぶされるように地面に埋もれた。

セルヴァンたちとボルゴたちの間にいる白手袋のハンドくんが広げた手をボルゴたちに向けていた。

ハンドくんが使っているのは『重力魔法』で、ボルゴたちの上には『見えない一軒家』が乗っているようなものだ。

さくらを『下に組み敷いて』と言ったのだ。

それを本人たちに『実行』しただけだ。



〖 我等にすらあらがうチカラも持たない雑魚に、さくらがわざわざ出てきて相手をする必要はない 〗


ハンドくんがパチンと指を鳴らす。

重力魔法が解かれると同時にボルゴたちの周囲に『炎を纏った竜巻』が何本も現れる。

小さな竜巻は2本が交わって1本に。

それを次々と繰り返し、最終的に大きな8本の『轟炎を纏った』竜巻が残った。

ボルゴたちは指を咥えて眺めていた訳ではない。

『水魔法』を竜巻にぶつけていたが、竜巻に届く前に水蒸気へと変わる。

その熱波に襲われて恐怖が増したのか狂ったように最大の水魔法を連発するが、それですらすべて水蒸気にしてしまう。


〖 お前らの魔法はその程度か。これでさくらに『手出ししよう』とは片腹痛い。これでもさくらの使う魔法の低威力しかないのに 〗


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