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第190話



時は戻って前日。

乙女の披露が終わった翌日の早朝。

最上階に唯一続く中央階段では騒動が起きていた。

さくらの部屋へ向かおうとする賓客たちとそれを食い止める『さくら様親衛隊』たちが揉めていたのだ。

賓客たちは「さくら様がお出ましになられないなら自分たちからご挨拶に」という傍迷惑で浅ましい考えを持っていた。


もちろん親衛隊は「こんな早朝から失礼だ!」と引き下がらず。

たとえ親衛隊を押し退()けても、最上階には結界が張られていて誰も上がることが出来ない。


それでも『腕に自信』を持っている自意識過剰な数人が「結界を壊す」と鼻息が荒い。

昨日の『天花』の際にシルエットとはいえさくらの姿(の一部)を見る事が出来た者たちが『さくらを神格化』させて自慢していたのだ。

そんな連中に「自分たちは『さくら様』と直接お会いした」と張り合いたい。周囲に自慢したい。

ただそれだけなのだ。




集まっている者の中にはセルヴァンの子供たちやドリトスの関係者、そしてヒナリの弟とその比翼もいる。


「皆さん!ここでいったい何を!」


騒ぎを聞いたジタンが慌てて駆けつけてきた。


「今すぐ結界から離れてください!」


ジタンの登場で「このチャンスを逃してたまるか!」と一部の男たちが親衛隊と揉み合っている間に結界へと駆け寄った者たちがいた。

彼らは結界に手をかけて無理にでも()じ開けようとしたのだ。

しかしそれは突然現れたハンドくんたちのハリセンが唸りをあげて、踊り場から階段の下へ虫の(ごと)く叩き落とした。


同時に窓からヒナリとヨルクが飛び込んできた。



「お前ら!何してるんだ!」


ヨルクは一瞬で『何が起きていたのか』を正確に把握した。

ヨルクの怒りがヒナリの弟たちに向かう。


「ロント!シリア!お前ら『神の結界』に手を出して許されると思ってるのか!」


「いや・・・おれ達は何もしてない!」


「だったら(なん)で此処にいるのよ!」


「だって・・なあ」


(ヒナリ)の怒りにロントは比翼のシリアに顔を向ける。

それに頷いたシリアが「本当だったら私達が『さくら様とお近付き』になれていたんですよ!」と騒ぎ出す。

彼女たちの頭の中では「私達が先に『さくら様』と会っていたら私達が『選ばれていた』はずだ!」ということらしい。

その内容にヨルクは呆れてものが言えなかった。




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