第188話
「さくら。『そのこと』に気付いていたのか?」
セルヴァンの言葉に不思議そうな表情でコクンと頷く。
さくらも乙女たちも元の世界ではただの『一般人』だ。
この世界にやってきて『瘴気の浄化』が出来ても『瘴気に強い』とは限らない。
実際にさくらは『何もしていない素の状態』や『清浄化がされていない場所』だと体調を崩しやすく寝込んでしまう。
身体の周りに張ってある『バリア』は瘴気を遮断するが濃い瘴気の中では長時間はもたない。
『セリスロウ国』から贈られた『セイジュのブレスレット』がもつ『浄化作用』と『癒し』の効果がバリアの中で起動しているため、さくらは濃い瘴気の中でも外へ出られるのだ。
最近になって乙女たちのおかげでエルハイゼン国内の瘴気が薄まったため、さくらは何時間でも町へ行くことが出来るようになったのだ。
逆に乙女たちにはそんな『補助』は何一つない。
瘴気を遮断したり軽減する術が一切ないのだ。
今の乙女たちが『正常』なのは、乙女たちの浄化が少しずつ広がって瘴気が薄まった結果だ。
さくらの言葉に4人は『さくらの部屋』を思い出した。
さくらの世界の空気と繋がっている『さくらの部屋』は浄化されているとはいえ瘴気は一切ない。
そんな世界から来たさくらや乙女たちの身体に瘴気の混じった空気で悪影響が出ないはずがない。
それにさくらは『瘴気を含んだ空気』のこの世界で生きていくために『細胞を適応化』させたと創造神は言っていた。
それでもさくらは外に出るときは『範囲浄化』魔法で自分の周りだけを浄化させている。
そして普段は神々が浄化させた空間に守られているため『瘴気の影響』を受けずにいられたのだろう。
「私がね。『浄化』すればいいんだと思う。・・・けど・・・」
乙女より『強いチカラ』を持っているのは分かっている。
けど、呼吸で浄化をする通常の方法でも澱が一気に溜まり寝込むのだ。
それは『瘴気の薄い無人島』に行って分かった。
短時間いただけで具合が悪くなったのだ。
そして澱の浄化方法を教えてもらった。
・・・『魔石の精製』で出来た魔石の数は尋常ではなかった。
色々と楽しんだ後は作った別荘の中で疲れて寝ていたさくらだったが、疲れたのは『澱が溜まったから』だ。
当時はまだ姿を隠していた創造神が体内に溜まった澱を完全に消して助けてくれたのだ。
さくらは最初『木の香りでリフレッシュした』と思ったが、創造神と直接会った時に『助けてもらった』のだと理解した。
だから『浄化範囲を1cm以内に制限する』方法を教えられた。
・・・それでも澱は確実に溜まっている。




