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第182話




さくら曰く『聖なる乙女の『見世物(みせもの)』会』には、各国の代表や各地の領主など関係者がたくさん会場入りしていた。

その中にはドリトスやセルヴァン、ヒナリの姿もある。



「さくら様はおいでにならないのか?」


「さくら様にひと目お会いしたい」


「さくら様と『お近づき』になって、自分も『神の加護』を(たまわ)りたい」


そんな会話を耳にした3人は途端に不快になる。



・・・やはり、さくらを『お披露目』させなくてよかった。



さくらを好奇の目に晒すくらいなら、徹底的に隠した方がいい。

以前さくらの精神が王宮を彷徨(さまよ)ったときは、『さくらの魔石』が発動していた。

そしてその時はさくらの姿が他者(さくら信者)には見えていなかった。

だったらさくらを『さくらの魔石』で守ることが出来るのではないだろうか。

神々やハンドくんを(まじ)えて相談してみようと思う。


3人は『聖なる乙女たち』が紹介を受け挨拶しているにもかかわらず、私欲剥き出しの言葉を挨拶代わりにしている国賓らに表情は変えずに心の中で呆れていた。




しかし乙女たちへの冷たい態度も仕方がないのかもしれない。

乙女たちの『さくらへの固執』が国内外の『さくらの親衛隊』に広まっていたからだ。

乙女たちも今では自分たちの言動が異常だったことを認め、この『公式の場』でも反省と謝罪を口にしている。



そんな乙女たちが挨拶を終えた時だった。

突然天井近くからピンク色の花が会場内に降り注いできた。

まるで乙女たちを『祝福』するように。



「え・・・?サクラ?」


「でも。この世界には『ない』って・・・」


乙女たちから驚きの声があがる。

ヒナリが『おちょこ』に開いた手に降ってきた花は『この世界に存在しない』・・・『ソメイヨシノ(さくら)』だった。




賓客の中には『青色の桜』を手にした者もいたが、それもすぐに『ピンク色の桜』に姿を変えていった。

床に落ちた桜がふわりと宙に浮かび、呼応(こおう)するかのように賓客が手にした桜も浮かび上がって天井近くに溜まっていく。

すると柔らかな白色の光の粒子となり、会場内にキラキラとふたたび降り注いで消えていった。



その後の賓客たちの態度はガラリと一変した。

さっきまで乙女たちに白い目を向けていた賓客の表情は優しく、乙女たちに礼儀正しく挨拶する者さえ現れていた。

その態度の急変に、乙女たちは困惑しつつも笑顔を欠かさなかった。





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