第161話
『さくら。今度『粉ものパーティー』をしますよ』
「ホント!」
リビングで朝食をとった後に飛び出したハンドくんの言葉にさくらは目を輝かせる。
「ねえ。何をやるの?」
『お好み焼きとたこ焼きですね。プレートの準備は出来ていますよ』
「さくら。それってなんだ?」
ヨルクの言葉にさくらは『板状のなにか』を取り出す。
そして『お好み焼き』を検索して「これがお好み焼き」と言いながら画像を見せる。
そして同じく『たこ焼き』を検索して画像を見せる。
「・・・これを作るのか?」
セルヴァンの言葉にさくらは、「簡単だよ?野菜を切って生地を混ぜて焼くだけだもん」と笑顔を見せる。
『当日はさくらも『お手伝い』しますか?』
ハンドくんの質問に「するー!」と手をあげる。
「『お手伝い』って何をするの?」
「キャベツとか切って、混ぜて、焼くの」
さくらの言ってることが分からないこの世界の4人。
さくらはハンドくんと『お好み焼きの具材』の話をしている。
今回はセルヴァンたちが『お好み焼き』を知らないため『関西風』のお好み焼きを作り、別の機会に『広島風』のお好み焼きや焼きそばを作ることになった。
その代わり『豚肉』や『エビ』、『もち』や『キムチ』『コーン』などのトッピングを入れたり、『とんぺい焼き』や『チヂミ』など色々作るらしい。
もちろんセルヴァンたちは意味が分からず困惑しているが、ドリトスだけはハンドくんと楽しそうに話をしているさくらの様子を笑顔で見ている。
「さくらは料理が出来るのかね?」
ドリトスに頭を撫でられたさくらは「うん。ある程度は出来るよ」と笑顔で答える。
「いまからなにか作れる?」
「さっきゴハン食べたばかりだよ?」
さくらがヒナリの言葉に小首を傾げる。
「えっ」とか「あっ。そうじゃなくて」とか慌てるヒナリ。
その様子にヨルクが吹き出す。
「さくら。ヒナリは『さくらが作ったゴハン』を食べてみたいんだって」
ヨルクがお腹を抱えて笑いながらさくらに説明する。
「ちょっとヨルク!」
笑わなくったっていいじゃない!と不貞腐れるヒナリ。
2人の様子をキョトンとして見ていたさくらだったが「ん〜?」と唸りだす。
「ハンドくん。お昼は何にする?」
『サンドウィッチかパスタですね』
「じゃあ夜は『えびしんじょ』とか『天ぷら』とか和食にする?」
『『とり肉』もありますよ』
「じゃあ『鶏から』作る!」
『肉じゃが』に『ナスの煮浸し』も食べたい。
『豚肉の生姜焼き』は今度ね。
さくらはそう言うと紙に材料を書き出す。
ハンドくんがその一つに指を差す。
『玉ねぎはまだ十分ありますよ』
「ナスはどうする?冷凍食品で『揚げなす』売ってるよね」
『そっちを使うと油を使う分が少なくて済みますね』
「天ぷらや唐揚げで使った油は『キャンドル』や『固形石けん』にリサイクルしよっか?」
『では使い終わったら濾しておきます』
さくらはハンドくんと楽しそうに話をしている。
ヨルクが「何言ってるのか分からん」と呟くと、別のハンドくんが『料理の本』を出してきた。
ヒナリが本を奪ってペラペラと捲っていく。
すぐに『肉じゃが』が見つかった。
「なんか難しそう・・・」
率直な感想を洩らしたヒナリに全員が頷いた。




