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第16話



翌朝、ドリトスとセルヴァンが迎えに来てくれて、3度目となる『応接室突撃訪問』に向かった。

私はセルヴァンの腕の中。

「大丈夫だから」と言っても離れず、お姫様抱っこを拒否したため左腕で抱えられている。


『おいおい。完全に『猫っ可愛がり』じゃないか』


『これでこの大陸から離れたらどうなることやら』


『獣人を怖がらない『乙女』は初めてだからな』



・・・私は『乙女』じゃないけどね。

でも乙女が許すなら、一年に1~2回位の間隔でこちらへ戻ってこようかしら?


『そして』


『ストレス発散に』


脅しをドン!と。


『一国の王を、ストレス発散のターゲットにしないで下さい!』


『譲位させれば』


『後腐れなく』


脅しをドン!


『~~~~~!』


私と神々で声を合わせたら、アリスティアラが唸ってた。



最近、神々と一緒に『アリスティアラ『で』遊ぶ』ことが楽しくなりました。




応接室でソファに座らされる。

ドリトスとセルヴァンの2人は、『私の騎士』よろしくソファの両脇後方に控えている。

目の前に、土気色のレイソル・マクニカ・アストラム『自業自得』の三人衆。

鑑定で、私のかけた魔法『浄化対象外』が切れてないのは確認済み。

でもステータスに『天罰続行中』とある。

これは一体全体なんじゃらほい。


『放っといてもすぐにわかると思うよ』


それは楽しみだ。



マクニカに「それで?『乙女の魔石』はいくつ買うの?」と聞いたら「今あるだけ全部」だって。

先日のアリスティアラとのやり取りを覚えてないらしい。


「へぇー。2万個以上も一度に買えるんだ。そりゃあ大金なんだから、用意するのに時間もかかるよねー」


マクニカは「あっ」とか「えっ」とか言った後、レイソルの様子を見ながら「『乙女の魔石』は一つ銀貨10枚で交換となります」と言ったとたん、レイソルとマクニカが悲鳴を上げて床を転げ回った。

のた打ち回る2人にアストラムは完全に怯えている。



『見えています?』


うん。全身に(イバラ)が巻き付いているね。

アニメのOP(オープニング)で、『『男装の麗人』が全身をバラに巻き付かれている姿』は美しいのに。

この『おっさんズ』は・・・見苦しい!

アレ?でもさっきまで『なかった』よね?


『ウソを()いたからな』


『『正直』にしていれば『天罰』を受けずに済むものを・・・』


あの状態で床に倒れたら、更にグサグサ突き刺さっているよね。

イタソーだな。


『痛そーだよな』


『本当に痛そうだ』


でも


『『『天罰』だから仕方ないなー』』


自業自得よね。


『まったくだ』



うーん。

話にならないしウルサイから、ハンドくんたちに言って・・・


『『窓からポイッ』はダメですよ』


・・・ちぇーっ。

じゃあハンドくん。

『廊下へポイッ』してきて。

荊でケガしないように注意してね。


ハンドくんたちがポンッと現れて、レイソルとマクニカを部屋の外へポイッと投げ出した。

同時に『絶叫』が廊下に響いたけど、ハンドくんが気にせず扉を閉じると気にならないくらいに小さくなった。

何か髪の毛を掴んだり、首の後ろを掴んだりって、『普通ではない掴み方』をしているハンドくんもいたけど・・・


『気のせい』


『木の精』


『樫の精』ってことで。


『『『そうそう!』』』


『『そうそう』じゃありません!』


『ウワッ!アリスティアラが怒った!』


・・・何か『鬼ごっこ』が始まってる気配がするけど。


『気のせい。気のせい』


うん。そうだね。

創造神が言うんだから『気のせい』だよね。



それより


「私が『乙女の魔石』の価値を知らないハズないのに・・・」


女神様からちゃんと聞いているんだけど。


「ごまかそうとするから『(バチ)』が当たるんじゃい」


「『()めた方がいい』と言ったんだけど・・・」


ドリトスの言葉にセルヴァンが頷く。

そっか。それは『罰が当たっても仕方がない』よなー。


「で?」


アストラムに目線を移すと、カタカタと小刻みに震えている。


「一緒に騙そうとした?あ、ウソを()けば『見えない荊の刑』が待ってるよ〜」


楽しいねー。

そう言ったら、ただ目線を泳がして怯えるだけで返事がない。

また『某有名ゲームの名台詞』を口にするか?

その前に静電気魔法『ビリビリ』の威力を試してみようか。

気絶させてから名台詞を言った方が・・・



そんな『面白そうなこと』を考えていたら、ドアがノックされた。

もう復活したんかい。と思ったら、鑑定魔法で表示されたのは違う名前。

床に転がっていたはずの、『ぼったくり2人組』の名前は何処かへ移動中。


懲りずに治療院に運んでいるのだろうか。



昨日聞いた話だと、『天罰』なんだからどんな魔法でも解除は出来ないらしい。

解除自体『天に逆らう』行為だから治療師たちも天罰受けるし、2人はさらに悪化するんだよね。


『あたり』


『治療師たちへの天罰は軽めにしてるよ』


だったら神殿にそのこと伝えて下さいよ。

無理矢理従わされて、天罰を受ける治療師たちが可哀想じゃないですか。


『イヤイヤ。最初に天罰を与えた時点で、神殿には『天罰だから触るな』と伝えてある』


『あれでも王と宰相だからな。『何とかしよう』とするんだ』


『あとで『治療院』を鑑定してごらん』


『ゴロゴロと『天罰を受けし者』の称号がいるぞ』


『賞罰欄に『天罰何回』って奴が、うじゃうじゃ揃っているぞ』


それって「自分は王のためにこれだけ生命をかけたぞ」って自慢されるんじゃないの?


『それはない』


『天罰を受けた身体は、乙女のチカラでも浄化はされなくなる』


『浄化されない身体は寿命に関わるものだ』


じゃあ『浄化対象外』の状態?


『それ以上だ』


『さくらの『浄化対象外』は浄化されないだけで『汚れた空気を吸って生きていく』事が出来る』


『だが天罰の場合は違う。埃の溜まった空間で呼吸するようなものだ。肺や内臓に埃が溜まり機能を低下させていく。そして死を迎える』


ああ。私の世界で問題になった『アスベスト被害』のようなものか。


『そうだな』


『ただ・・・『賞罰』は死んでも消えない』


『賞罰にある天罰の回数は『生まれ変わる』と一つ減るが『天罰』を受けた状態で生まれ変わる』


それって・・・この世界の人たちは知ってるの?


『もちろん知っている』


『この世界に生まれてすぐ、神官に『賞罰欄』を確認される』


『賞罰の有無で、まず将来が決まる』


『天罰の場合は『これ以上の天罰を受けないように』との理由から、神殿の地下にある檻の中で(はた)を織り一生を終える』



なんで『機織り』?



『『神に赦しを乞う』ために、神殿で使うものを作らせるから』


『機織りは1人で出来るから』




確かに他人との接触が少なければ、その分追加で『天罰を受けにくい』よね。


『そして『賞罰欄』に罰を受けた者の家族や親族にも影響を及ぼす』


『まず『役職』にはつけない』


確かに『殺人者』の家族が『取り締まる側』とか、『横領』の家族が『経理職』って・・・悪いけど信用出来ないわ。


『生まれ変わった場合だと、跡取りだろうと神殿に子を奪われるからな』


『赤ん坊を隠したり逃げたりすれば、たとえ賞罰が無くても一家同罪で神殿の地下行きだ』


『領主なら領地没収になる。その場合、全領民が『犯罪奴隷』に落とされることもある』


それは『私がいく大陸』の話だね。

この大陸には 奴隷はいないから。


『ああ。この大陸では『賞罰を受けたもの』は生まれないからな』


つまりカースト制度だと、『アリステイド大陸』は『他の大陸』より上位で、何か悪いことをしたら次に生まれる時はランクを下げた大陸になるってことか。


『キミの好きな『ポイッ』だな』


賞罰か。

常識を越えたレベルアップをしてるからなぁ。

私も気をつけないと・・・


『キミは『免罪符』があるから心配しなくていいよ』


免罪符?


『女神に愛されし娘』


『神々に愛されし娘』


『創造神に愛されし娘』



・・・なんか増えてるし。

『最強』の免罪符まで出てきたし。


とりあえず、免罪符を使わなくても済むように気をつけます。




ドアの向こうの人物は「どうぞ」とドリトスが声をかけてからドアを開いた。


「失礼致します。そちらの方が『女神に愛されし娘(さくら)』様ですね。」


そう言ってドアの前に現れた若者は、左手は腰の後ろに回し、拳を握った右手を胸に当てて腰を折った。


「お初にお目にかかります。エルハイゼン国国王レイソルが第一子、ジタンと申します」



ココロの中で、『心臓を~』と巨人が出るアニメのサビを歌ってしまったのは、私のせいではない・・・と思う。





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