第158話
「・・・『粉ものパーティー』ってなんだ?」
「ああ。『さくらの世界』には『小麦粉』という粉を使って作る『お好み焼き』や『たこ焼き』などの料理がある。それをみんなで作って食べるパーティーのことだ」
ヨルクの疑問に創造神が答える。
「『お好み焼き』は以前さくらが作ってくれたわね」
「え?さくらは料理が出来るのですか?」
「あら。知らなかったの?ハンドくんが作る料理やお菓子は、元々さくらが作ってたのよ」
『自分たちは、さくらの魔法から生まれましたから』
『そのため、さくらの記憶も知識もすべて持っています』
『その中に『料理の知識』もあります』
『さくらは和食、洋食、和菓子、洋菓子。色々作れますよ』
女神やハンドくんの言葉に驚くヒナリ。
確かにさくらは何冊も『料理本』を持っている。
持っているということは『作れる』ということだ。
ヒナリたちはそう納得した。
それはまったくの誤解である。
さすがにカレーやシチュー、チャーハンなどの簡単な料理、作りなれた料理やお菓子ならレシピがなくても作れる。
でもそれ以外は『料理本を見ながら』、箱などの裏に書いてある『作り方を見ながら』作っているだけだ。
「今度作ってもらうといい。さくらの料理は美味いぞ」
・・・本人が寝ている間に、勝手にハードルをあげないでほしい。
創造神がタオルケットごと、さくらを片手で抱き上げて立ち上がる。
「さあ。キミたちも休みなさい」
「あっあの!3日後の『粉ものパーティー』。皆様と一緒に出来るのを楽しみにしています!」
そう言ってヒナリは頭を下げる。
創造神はそんなヒナリの頭を撫でてヨルクにさくらを託す。
ヨルクの腕の中で身体を捻って暴れるさくら。
創造神から託されたときに、思わず『創造神への嫉妬』と『奪われたくない』という思いから強く抱きしめてしまったのだ。
ドリトスが横から手を出して、落ちかけたさくらを抱き上げると、途端に大人しくなる。
その様子を笑ってみていた創造神は、さくらの頭を撫でて「さくらのことを頼んだよ」と言い残し、女神たちと一緒に去っていった。




