第155話
「『我らの姿』が見えるようになっておるな?」
「はい。私たちが『さくらと共に生きることを選んだから』と伺っております」
ヒナリの言葉に神々が頷く。
「我らはさくらを『愛し子』と呼んでおる。そんな我らと同じだけさくらを愛でておるから、我らの姿を見ることが出来ておる」
男神の言葉を遮るように、ハンドくんがホワイトボードを見せる。
『神は回りくどい』
『みんなが神の姿を見ることが出来るようになったから隠れる必要がなくなった』
『だからこれからは以前の通り、ここに昼夜問わずダラダラと居座りたいが構わないか?』
『そう言いたいだけだ』
「おい。神には『威厳』というものがだな・・・」
『そんな『さくらの役に立たない』モンなんか丸めて『ゴミ箱』にでも投げ捨ててこい』
『どうせだから自分から『ゴミ箱』に入って処理されてこい』
「・・・消されたいのか」
『さくらに泣かれたいか?』
『嫌われたいか?』
『さくらを起こして、今の話を聞かせてやろうか?』
「ホレ。お主の負けじゃ。認めろ」
ハンドくんに言い負けた男神が座卓に突っ伏して敗北を認めた。
もちろんこの男神は、本気でハンドくんたちを『消そう』とは微塵も思ってなどいない。
そんな『さくらが悲しむ』ことを、創造神も他の神々も許すハズがない。
『さくらに泣かれる』
『さくらに嫌われる』
そんなことは、この場にいる誰もが『一番避けたい』ことだった。
神を相手でも物怖じしないハンドくんのやり取りを見たヨルクとヒナリは、『この中でハンドくんが最強』だと改めて思い知った。
これだけ騒いでいる中でも、さくらはグッスリ眠っている。
さくらの身体はハンドくんたちの『簡易結界』が発動していて、青白い光に包まれていた。
「今すぐではないが・・・。『さくらの願い』通り、我らがこの場で共に過ごすことを許してもらえるかな?」
さくらに『ひざまくら』をしている創造神が4人に『お願い』をする。
ヒナリは「恐れ多い」と身を固くしてしまった。
この世界の『最上位の神』に、命令ではなく『お願い』されているのだ。
「身に余る光栄で御座います」とセルヴァンが答える。
ドリトスは「そのような陪席の栄を賜るとは・・・」と驚いていた。




