第151話
「いつまでもそこにいたら風邪引くぞ」
水の女神の言葉に『さくらの部屋』の扉からドワーフたちが姿を現す。
彼らはさくらがリビングに現れてすぐの時点から扉の影に隠れていた。
我ら神に『遠慮』したのだろう。
「さくらの『ねがい』は聞いたかな?」
「オレたちだけだと『寂しい』と・・・」
「それは『仕方がない』だろう?この子が此処へきた頃は、この広い部屋に『ひとりぼっち』だったのだから」
そう。ハンドくんたちとアリスティアラがいただけだ。
そして創造神が現れて、他の神々も常時姿を現すようになった。
それはさくらが喜ぶからだ。
しかしドワーフや獣人が現れると姿を隠した。
そのたびにさくらは寂しそうな表情をしていたのだ。
さくらの『甘え』はその頃から始まったのだ。
水の女神の言葉に翼族の2人は周りを見回して「ここにひとりぼっち・・・」と呟く。
当時、ドワーフと獣人はさくらが寂しい思いをしないように何度も足を運んでいた。
しかし倒れたさくらを疲れさせる事になるから長時間は居られなかった。
『呪い』の件で神々は『出来る範囲』でさくらを守った。
しかしさくら本人が呪者や関係者の死を望まなかったため『守護』しか出来なかった。
そして『呪いに巻き込みたくない』という意思で神々を遠ざけた。
唯一、アリスティアラだけが苦しむさくらのそばにいられた。
時々、創造神が体内に溜まる澱を消すためにさくらのそばにいたが・・・
それでも『寝ている時』に限られていた。
『飛空船事件』で『若い神々』の神籍が剥奪された。
他の残っている神々がフォローしてきたお陰で『天災』は起きずに済んでいる。
神は『一つ』の守護に『二柱以上』存在する。
守護神すべてが神籍を剥奪されたものはない。
もし『守護する神が不在になった』としても、創造神やアリスティアラたち『上位神』が代わりをする事が出来るため一切問題はないが。




